いろんな数学的帰納法を絵で理解する

数学的帰納法といえば、高校数学で突如登場する「証明法」です。

高校数学では「すべての自然数nについて○○が成り立つ」ことを

① n=1のときに○○が成り立つことを証明する。

② 「『n=kのときに○○が成り立つ』ならば『n=k+1のときに○○が成り立つ』」を証明する。

というツーステップで証明するものを指すというイメージが強いと思います。もちろん入試レベルになれば「2以上の自然数n」や「0以上の整数n」に関しての命題も扱いますが、②の部分が変わることはありません。そこで、今回はいろいろな形を絵で理解しようと思います。なお、具体例も触れますが、詳細な証明は今回はしません。

まずは普通の数学的帰納法を絵にしよう

最初に先ほど紹介した数学的帰納法を絵にしておきましょう。

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「①で赤色の箱が正しい」を言って「②で茶色の矢印が正しい」と言えるので、イメージとしては赤色で発火し、木を伝って燃え移っていくような感じでしょうか。(あんまりなたとえな気もしますが。)

とにかく、一直線に前進していくのが普通の数学的帰納法です。


全部仮定するタイプの数学的帰納法

次に紹介するのは「全部仮定」するタイプの数学的帰納法です。

画像2

さっそく絵で描いてみると上のようになります。「n≦kのときに成り立つことを仮定して、n=k+1のときに成り立つことを示す」ことになります。これは仮定が強力なので、普通の数学的帰納法の強化版とも言えます。そのため、普通の数学的帰納法で証明するものには常に使えます。

これを使わないと証明しづらいものとしては、「自然数1からnのm乗和がnのm+1次式で表せる」などが例として挙げられます。(ちなみにこの命題は数学的帰納法を用いなくても証明は可能です。)


二次元の数学的帰納法

普通の数学的帰納法が直線的なら、平面的な数学的帰納法も可能では?というのが自然な疑問です。

画像3

準備として赤の部分を証明したあと、左と左下の2つを仮定して矢印の先の部分を証明する、という流れになります。左下からじわじわと右上に向かって証明されていき、最終的に(m,n)の組に対して証明が完成します。(矢印の構成はいろいろあります。)

なかなか具体例は多くはありませんが二項係数nCmの満たす性質

mCn=m-1Cn+m-1Cm-1

を応用するときに使えます。

上記のサイト様で具体例を見られます。

なお、mについての帰納法、nについての帰納法を一気にやったとみることもできます。


まとめ

3種類の数学的帰納法を絵で表してみました。筆者の「絵心」がなさすぎるため、今回は3種類の紹介で終わりましたが、もちろん絵を少し変えるだけでいろいろな形の数学的帰納法が作れます(実用性はおいておけば)。いろいろと考えてみると楽しいかもしれません。

以上になります。最後まで読んでいただきありがとうございました。

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