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水のように 2

 志望した大学に合格した、といって息子が喜んでから二ヶ月弱が経った。

 息子からは入学式には絶対に来るなと言われていたがそうはいかない。たまの息子の晴れ姿である。見ないわけにはいかない。そうでなくともこう遠いのだから、これからだって簡単に会いに行くわけにもいかない。

 送付されてきた葉書を見せて式場に入るとすでに大勢の人が席を埋めていた。保護者の皆さんも豪く着飾っているが私にはもうそんな服はなかった。もうどうでもいいことだ。

 式が終わるまでにあの子を見つけることが出来るだろうか。お兄ちゃんのときは結局最後まで見つけられなかったから。でも今回はそんなに心配していない。あの子の髪の毛は遠くから見ても赤いから。

 ほらね

 おや、あの子が珍しく緊張しているじゃないか

 大学校内を散策して、息子に見つからない様に時間をつぶしてからあの長い坂を下ることにする。

 この次あの子に会えるのはいつになるだろう。どうせ電話もかけてこないだろう。一人暮しであの子が上手くやっていけるだろうか。食事が一番心配なのだけれど大丈夫だろうか。

 こんな時間に坂を登ってくる学生さんもいる。

 胡乱そうな目で私を見ている。

 ねえ、聞いてよ

 私の息子が大学に入学したんだよ

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