バレンタインデーの苦い思い出
あれは小学校高学年の頃。それなりの人徳があったのか、はたまた地道な営業活動が実ったのか、私はバレンタインデーに20個ほどのチョコレートを貰うことに成功したのです。おそらく友達と個数を競っていたのでしょう。自分が勝ったのかどうかは記憶がありませんが、とにかく「俺もなかなかやるじゃないか」と鼻高々だったのを覚えています。想像力のない、何という愚かな小学生でしょう。
調子に乗っていた私が我に返って青ざめるのはそれから1か月後です。そう、ホワイトデーですね。小学生です、20人もの女の子に個別にお返しを返せるような財力があるわけがないんです。もっというと、そんなマメさも小学生は持ち合わせていません。お金もない、マメさもない、そんな小学生がやむにやまれずとった行動がもう、痛々しすぎて書くのも憚られるほどです。
スーパーで格安の「お徳用マシュマロ詰め合わせ」を買ってきた私は、女の子を公園に呼び出し、マシュマロをティッシュに包んで渡して回るという暴挙にでたのです。
嗚呼、神様。
人生やりなおし地点をいくつか選べるなら、私はこの日を、いや20個貰って鼻高々になっていた哀れなあのバレンタインデーをその日に選びたい。義理チョコとはいえ、チョコをくれた子たちを公演に集めるというその荒々しい発想に対してまずはイカヅチを落としたい。そしてマシュマロを包んだティッシュという名の「雑さ」に対して二つ目の。
いったい、あの時の女の子たちは、どんな思いを胸に帰っていったことでしょう。今考えるだけでも背筋が凍りつきます。
どうですか皆さん、この痛々しい黒い歴史。あまりにも痛々しすぎて今でも鮮明に覚えているくらいなのです。
さて教訓は「あなたが何歳であろうと想像力を最大限に大事にせよ」にしておきます。
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