「設定萌え」の漫画について

浅草みどりはアニメ制作がやりたいが、一人では心細くって一歩が踏み出せない。
そんな折、同級生のカリスマ読者モデル、水崎ツバメと出会い、実は水崎もアニメーター志望なことが判明し・・・!?
金儲け大好きな旧友の金森さやかも加わって、「最強の世界」を実現すべく電撃3人娘の快進撃が始まる!!!

『映像研には手を出すな』を読んでいて、主人公の一人である浅草が言った

私の考えた最強の世界。
それを描くために私は絵を描いているので設定が命なんです。

というセリフに納得感が高かったので、画面に向かっている。
自分は別に絵を描く訳ではないので、読む側としてだが、設定に引きこまれて読む、という漫画があるな、と思った。

西暦2030年。テレポーターが開発され、月にさえ一瞬で行けるようになった時代。四ツ谷正宗ら一行は、テレポーターの開発者である正宗の兄・十三に呼び出される。彼らはそこで“未知の惑星”に繋がる入り口へと誘われ……。被害者4人と愉快犯1人の、地球外サバイバル漂流記。

たとえば、この『四ツ谷十三式新世界遭難実験』は異星の生態系を描いている。冨樫パイセンの『レベルE』へのオマージュを感じるキャラクター造型と舞台となる「未知の惑星」に詰め込まれた設定が楽しい。
「ケイ素生物」なる親の死骸を食べて砂漠で生き残る生物などバラエティに富んだ生物たちが出てきている(ただ造型がカンブリア紀とかそこらへんの外殻生物っぽいのばかりなので、他の全然違う種類のも出てきてほしい)。話と話の間に挿入される小噺(設定)で細かく生態が説明されていて楽しい。残念ながらすぐに終わってしまった。

江戸時代、恐竜は絶滅しきっていなかった! わずかに生存する肉食恐竜が人間の命をおびやかす。城下町への侵入を阻めなかった銀二は、相棒のナマリと共に恐竜に挑む。しかし、獰猛で巨大な恐竜に有効な武具など皆無。万事休すかと思った矢先、彼らが手にした謎の銃とは!? 感情無き殺りくモンスターに勇気と英知で立ち向かう、大型パニック・アクション・アドヴェンチャー!

最近始まったこの漫画は江戸時代まで恐竜が生き残っているという設定だが、江戸時代まで恐竜が生き残っているからにはその生態についても何らかの変質が起きる可能性があるかもしれない。その辺りが見えてくるとものすごく楽しそうだ。

このような生態系SF作品や初期『モンスターハンター』やハリーポッターの生物図鑑のように想像上の生物の生態系を緻密に編んだものに惹かれる。同じようにロボットや宇宙ものの設定に惹かれる人も大いにいるだろう。ガンダムの「黒歴史」よろしく、「設定」に惹かれることは作者が想定している以上に「設定」にコミットすることに繋がるのかもしれない。能動的な受容の仕方として「設定萌え」は存在している。


何が言いたくなったかわからないけど、創作には受容と供給だけではなく、フレームをつくり「参加」させるというタームがある。そのタームに「設定」が存在していて、それは世界の解像度をあげるものなのだ。「設定」があれば「私の考える最強の世界」が実現できるのだ。


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