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2020-21読書録

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#コンテンツ会議

写真とは?カメラとは?─『新写真論』

もしかしたら写真は人間を必要としなくなるのではないか 写真は激変のまっただ中にある。 「写真」という用語をあらためなければいけないとすら思っている。 これはスマートフォンとSNSによってもたらされた。 その象徴が自撮りだ。−−「はじめに」より スマートフォンは写真を変えた。 だれもがカメラを持ち歩き、写真家は要らなくなった。 すべての写真がクラウドにアップされ、写真屋も要らなくなった。 写真の増殖にひとの手は要らなくなり、ひとは顔ばかりをシェアするようになった。 自撮り

砂と共に歩んできた人類─『砂と人類―いかにして砂が文明を変容させたか』

建物、道路、コンピューターチップ、石油や天然ガスの採掘―砂は、世界で最も重要な固体であり、現代文明の土台をなす物質である。人類が砂なしでは生きていけなくなるまでに、なにがあったのか。砂によって我々が直面している問題とは?文明を支える砂よりも頑丈な土台はあるのか?一粒の砂から浮かび上がる、人類社会の全体像。 *** コンクリートは砂と砂利をセメントで固めたもの,ガラスはケイ砂を溶かしてつくり,パソコンの基幹部分であるコンピュータチップの製造には高純度のケイ砂が必要となる.

人新世,ゲーム,フィクション,小さなもの,大きなもの─「design alternatives」12月号感想

「rhetorica」など興味深い本を制作しているseshiappleさんらによるマガジン「design alternatives」の12月号を拝読したので,簡単に感想をば 「design alternatives」は国内外のオルタナティブなデザイン事例を紹介するマガジンで,説明文では「都市・建築〜」と書かれているように僕の専門である建築分野も関係してくるので,要注目かなと. 12月号の特集は「2019年のオルタナティブなデザイン」ということで,編集部がディレクションした

「小さくて大きい行政府」へ─『NEXT GENERATION GOVERNMENT 次世代ガバメント 小さくて大きい政府のつくり方』

小さい政府/大きい政府の二項対立を超えていく、小さいけれども、誰も排除されない大きな社会を実現する、「小さくて大きい行政府」はありえないのか? 人口減少によって社会が疲弊し「公共」が痩せ細っていくなか、デジタルテクノロジーの可能性を正しく想像することで、新しい公共のありかた、新しい行政府の輪郭を見いだすことができないか。 テクノロジーと社会の関係に常に斜めから斬り込んできた『WIRED』日本版元編集長、『さよなら未来』の若林恵が、行政府のデジタルトランスフォーメーション(ガバ