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XR空間を考える

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来たるべきパラレルリアルの世界へ向けて,XR空間について考える. 主として建築を参照しつつ新しく生まれつつある空間への思考を深化させるための断片記noteです.気になった方はまず…
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#都市

都市景観についてのノート

パーソナルな世界実写版『ゴーストインザシェル』などで描かれている多言語の看板が入り混じる都市風景に違和感を感じていたが、ウェアラブルデバイスやインプランタブルデバイスで文字をリアルタイム翻訳して表示言語の統一化をはかれるようになると考えれば、その風景に自分が違和感を感じてしまうのもなるほどなと感じた。 リアルタイム翻訳が浸透すれば、今のように日本語の下に英語、中国語を書く必要もないしいちいち表示選択もする必要がないので、むしろ広告のありかたがスッキリするのではないか。そし

「自分の空間」をつくる(VRChat篇)

この記事は、AEC and Related Tech Advent Calendar 2020 の11日目の記事です。AECのV寄りの記事です。 ※本投稿は1初心者VRChatユーザーの私見です はじめに─「野良の空間」の時代2020年現在、VRSNSの「VRChat」にはさまざまな種類の無数のVR空間が日々たくさん現れている。 VRChatに日々アップされるVR空間の数がどれくらいになるかを正確に把握する方法を持ち合わせてないが、VRChat上に存在する「ワールド」(V

バーチャル空間で建築見学!─メタボリズム・クオンタイズド ~旧都城市民会館3D Digital Archive~ワークショップレポート

菊竹建築設計事務所が設計し、1966年に竣工した旧都城市民会館。 老朽化などを理由に、惜しむらくは昨年解体されてしまった本建物ですが、有志によって実測が行われデジタルアーカイブとして残されています(経緯は下記のnoteに詳しく書きました)。 本プロジェクトは第23回文化庁メディア芸術祭(以下、メ芸)のエンターテインメント部門審査で委員会推薦作品に選ばれるなど一定の評価も得た、これからのデジタルアーカイブ活用において先見的なプロジェクトと言えるでしょう。 この度、デジタルア

【VRCワールド紀行】揺蕩う未来─「水の休息所 -Underwater Lounge-」

いま、さまざまな種類の無数のVR空間が現れている。番匠さんが言うところの「空間楽」によって、「個性的な現実群」がどんどん増えている。そんな「個性的な現実群」を巡りながら考えたことを綴っていきたい。 人は陸の上だけが世界だと思っていますが、海の中も一つの世界なのです。地上の法律の及ばない平和な世界です。ここには、人間を抑えつける政府や権力をふるう者はいません。誰でも、平等で自由でのびのびと生活ができるのです。 海底二万里/ジュール・ヴェルヌ イーロン・マスクのSpace X

「都市とモビリティ 〜自動運転車時代の都市を考える〜」メモ(トヨタ「Woven City」をきっかけにver)

トヨタが静岡県裾野市にコネクティッドシティである「Woven City」の計画していることを発表しました.これをきっかけに自動運転と都市の関係を考える機運が出てくるといいですね.ということで2018年5月29日に書いた自動運転と都市についてのレクチャーメモを少し加筆して再掲載します. 先週金曜日5/25に自動運転とまちづくりについてのレクチャーを拝聴してきたので,簡単に備忘録.自動運転の議論が建築・都市でも盛り上がるといいな. (2019.08.26追記) ご著書が出てま

複数の世界を横断する─点群、自動運転、フォトグラメトリ、ゲーム

機械が認識するための世界、限りなく現実に似ているけど「楽しさ」を追求されるようになった世界、現実の雰囲気だけを取り出したような世界...etc 現在、私たちの肉体があるこの「現実世界」を起点として、さまざまなバージョンの世界が生み出されるようになっています。 世界が複数あることをきちんと認識し、それらをうまく享受しながら複数の世界を横断的に楽しむ、そんな時代がくるのではないかと思わされます。 最近、VRChatで体験してきたふたつの「ワールド」から、そんなことをゆるゆると

建築の3次元デジタルアーカイブの未来はどこへ?─『旧都城市民会館』3DDAトークセッションレポート

菊竹建築設計事務所によって設計され,1966年に竣工した都城市民会館. 変わらない部分と社会の変化や技術の発展によって変わっていく設備などの部分を分け,屋根は部品化された部材を用いて,交換可能なものとして設計されたメタボリズムの思想が取り込まれた建築である. 鉄筋コンクリートの基壇の上に鉄骨屋根架構が載る特徴的な形態を持ち,まるで昆虫のような独特な姿が印象的だ. 旧都城市民会館の「残る部分」 竣工してすぐに掲載された建築専門誌『新建築』の解説で,菊竹氏は「残る部分」につ

建築は、浮かぶ、歩く、変容する─アーキグラム「建築を情報に還元する」

本記事はVR空間デザインコンテスト「VRAA01」のために執筆された記事を転載したものです. 「VR Architecture Award(VRAA)」では、 “Architecture” は狭い意味での建築ではなく、空間の「アーキテクチャ=構造・仕組み・設計思想」を表します。 ここ「知る」のページでは建築の世界の過去の試行から「Architecture」について考えてみたいと思います。 *** 建築界のビートルズ 建築とは、おそらく、われわれをとりまく日常の世界にたい

「想像力」を鍛える─建築ジャーナル2019年5月号「建築+情報技術=?」

情報通信技術の進歩は目覚ましく、私たちの生活は今やそれらに頼り切っている。建築設計の現場でも手描きからCADそしてBIMへとツールは進化、拡大し、今後ますます情報技術を扱う場面が増えていくだろう。しかし、新しいものへの拒否反応か、情報技術のために失われる「何か」への恐れのためか、いまだ建築界の情報技術への抵抗感は強い。 一度手にしてしまった技術は捨てられないし、情報化の流れは止まらない。手にしたこの技術を、どう使えば社会の幸福につながるのか、リアルな人間のありようを常に考えて

設計者のワークフロー変革を目指すVRソフトウェア「SYMMETRY」を体験してきた話

先日,xRArchiメンバーの番匠カンナさん,sabakichiさん,mozさん,Discontさん,sekine_kentaさん,でSymmetry Dimensionさんに遊びに行ってきて,VRソフトウェア「SYMMETRY」のデモ体験をさせてもらいました. (2019/02/28/0:28記:2/1に社名を変更されたとのことで修正しました) せっかくなので,感想備忘録をばと思いキーボードを叩いております. (xRArchi...xRと建築の関係を模索する謎の集団) S

リアルとバーチャルの境界はなくなっていく─「第0回VR建築コンテスト」レポート最終回〜VR建築の未来をみる編〜

こんにちは。 FUKUKOZYです。 先日2018年12月16日に結果発表が行われ、大盛り上がりのうちに幕を閉じた「第0回VR建築コンテスト」の連続レポートを三編に渡ってお送りしております。 第一編「〜はじまるまで編〜」では、コンテストの企画から概要公開まで 第二編「〜はじまってから編〜」では、登録・提出受付始まってからワールド公開までを 追ってレポートしました。 ワールド公開後は「バーチャルお宅訪問」や「結果発表配信」など、提出している人もいない人も、皆が楽しめるよ

現れ始める「VR建築」─「第0回VR建築コンテスト」レポート〜はじまってから編〜

こんにちは。 FUKUKOZYです。 先日2018年12月16日に結果発表が行われ、大盛り上がりのうちに幕を閉じた「第0回VR建築コンテスト」。 前回の記事では、コンテストが公開されるまでのさまざまな検討を紹介しました。 今回は、登録・提出受付が始まってからを描く「はじまってから編」。 公開後も、質問対応や中間お宅訪問などさまざまな人に軽率に参加してもらえるように動いた運営チームの色々な努力をレポートしていければと思います。 2018年10月28日に満を持して公開された

軽率にやってみたらVRと建築が生み出す新しい未来が見えてくる─「第0回VR建築コンテスト」レポート〜はじまるまで編〜

こんにちは。 FUKUKOZYです。 先日2018年12月16日に結果発表が行われ、大盛り上がりのうちに幕を閉じた「第0回VR建築コンテスト」。 僕もこのコンテストの運営を末席で微力ながらお手伝いしていました(そして、しれっと作品も出しました)。 VRと建築が生み出す新しい未来に軽率に触れてみようとの思いで開催された本コンテスト。 運営メンバーや出展者の方々などさまざまな人が協力し合って、無事コンテストを終えることができました。 運営参加メンバー いつもは雑な備忘録

「データ」と建築・都市の関係─「Archi Future 2018」

時間が空きましたが,「Archi Future 2018」を聞いてきましたので,ログをば. ※案の定,個人的な解釈が含まれているであろうことはご承知を. 「Archi Future」って?建築分野におけるコンピュテーション活用を中心とした注目の最新動向と最新のソリューションを紹介するイベント. 2018年で第11回となる今年のテーマは「Society vs Digital ─技術は社会を超えたか?─」. 基調講演では,Alibaba Cloud Senior Direc