#人生カタログ「優」
幼い日の私は紛うことなく「優」しい少年であった。
優しいが故に、周囲からはモノを頼まれ、断ることが出来なかった。
結果として、クラスという社会において、私という人間の位置は「下」として存在していた。
「上」から宿題を頼まれ、断れず、そんな日々が続いた。苦労はしたが、苦労をすればするほど学業の成績は上がっていった。
私は地元で一番の進学校に合格した。そして、今まで私を「下」に見ていた「上」の連中が志望校に合格できなかったと聞いた時に、私の中で何かが生まれた。
「優」越感。私は私を貶めた全ての連中を心の中で貶めるようになり、執拗に勝利を追求するようになった。
かつて居た「優」しい少年は、いつか、「優」越感を愛するようになった。何かに取り憑かれたように…
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