#人生カタログ 「無考者」 32 山吹誘地 2019年5月16日 21:23 果てない惰性の先は、他愛ない無であった。平々凡々たる暮らしに於ける惰性と、その対極に位置する焦燥に駆られて、苦悩による結実も潜在せず、只、時のみが弛んだ身体を通過して往った。案もなく、因もなく、運もなく、縁もなく、恩もなく、絶望という程の絶望すらなく、凡庸さの頂で、世間を象る紋様の一点でしかないことに己の存在を見出す他、なかった。そんな人生に考という考が或る筈もなく、有象無象に流され、日々を熟し、宛もなく呻吟する私は途方もない「無考者」だ。 #呻吟 #小説 #人生カタログ ダウンロード copy #小説 #呻吟 #人生カタログ 32 記事を最後まで読んで頂き、ありがとうございます! サポートでいただいたエネルギーは生き延びるために使わせて頂きます。 記事をサポート