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#人生カタログ 「無考者」

果てない惰性の先は、他愛ない無であった。

平々凡々たる暮らしに於ける惰性と、その対極に位置する焦燥に駆られて、苦悩による結実も潜在せず、只、時のみが弛んだ身体を通過して往った。

案もなく、因もなく、運もなく、縁もなく、恩もなく、絶望という程の絶望すらなく、凡庸さの頂で、世間を象る紋様の一点でしかないことに己の存在を見出す他、なかった。

そんな人生に考という考が或る筈もなく、有象無象に流され、日々を熟し、宛もなく呻吟する私は途方もない「無考者」だ。

#呻吟 #小説 #人生カタログ


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