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研究会第3回ワークショップを開催しました(2)- 問いを立てる対象を見極める力、事例編 -

【研究会第3回ワークショップを開催しました(1)- 発散思考から探求思考へ編 - 】の続編になります。前回の投稿では物事を深く見ることの真の目的とは「問いを立てる対象を見極める」こと、というところまでお話しをしてきました。今回の投稿では、実際の事例を題材に問いを立てる対象を見極めるとはどういうことなのか、具体的にお話を進めていきます。


1.ヒューストン空港の事例、解決したい課題

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米テキサス州にあるヒューストン空港では、利用者からの大半のクレームが荷物受取所での長い待ち時間に集中していることに悩まされていました。
皆さんも荷物受取時の待ち時間、1度は体験したことがあるのではないでしょうか?意外と長いですよね、、、?

【解決したい課題】
荷物受取所での長い待ち時間へのクレームを解消したい


2.ヒューストン空港の事例、解決への試み-1

まず、ヒューストン空港では従業員の人数を増やし、従業員1人当たりの対応人数を減らすことで荷物受取所での待ち時間を短縮する解決策を試みました。実際、十数分もあった待ち時間は8分にまで短縮されたそうです。

【解決したい課題】
荷物受取所での長い待ち時間へのクレームを解消したい
    ↓
【課題解決への問い立て】
荷物受取所での待ち時間を短縮する
    ↓
【解決方法】
従業員を増やし従業員1人当たりの対応人数を減らす

しかし、待ち時間を半分近くに減らせたにも関わらず、クレームは一切減らなかった。つまり、、、

荷物受取所での待ち時間を短縮する、という課題解決への問い立ては適切ではなく根本的な課題解決に繋がらなかった


3.ヒューストン空港の事例、解決への試み-2

そこで、ヒューストン空港ではあえて到着ゲートと荷物受取所を離すという試みを取り入れました。従業員を増やすという解決策を実践して以降、空港利用者は到着ゲートから荷物受取所まで平均約1分かけて歩き、荷物受取所で約7分待つという状態でした。到着ゲートと荷物受取所を離すという試みを取り入れて以降、空港利用者は到着ゲートから荷物受取所まで平均約6分かけて歩き、荷物受取所で約2分待つという状態に変わりました。

【解決したい課題】
荷物受取所での長い待ち時間へのクレームを解消したい
    ↓
【課題解決への問い立て】
歩いている時間と立ち止まって待っている時間の割合を変える
    ↓
【解決方法】
到着ゲートと荷物受取所を離す

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すると、到着ゲートから移動し荷物を受け取るまでに要する合計時間は8分のままであるが、クレームはほぼ0にまで減少!

歩いている時間と立ち止まり待っている時間の割合を変えるという課題解決への問い立ては、クレーム解消へと繋がった

つまり、、、クレームに潜む空港利用者が求めていた潜在的な欲求は、

空港が常にスムーズに動いていると感じられる体験であった


4.問いを立てる対象を見極めるとは

皆さんどうでしょう?
問いを立てる対象を見極める力がなぜ大切なのか、ヒューストン空港の事例を題材にすることで少しわかりやすくなったのではないでしょうか。待ち時間に対するクレームはあくまでも表面に現れた出来事であり、表層的な欲求です。探求思考とは潜在的な欲求をあぶり出すための思考法であり、記事3では、表面に現れた出来事や欲求の背後に存在する潜在的な理由を明らかにしていくワークショップの技法について紹介させてもらいます。


5.【重要】続編へ

ここまでご覧頂きありがとうございます。
研究会第3回ワークショップについては下記の記事に分割しています。

記事1
研究会第3回ワークショップを開催しました(1)
  - 発散思考から探求思考へ編 -

記事3
研究会第3回ワークショップを開催しました(3)
  -探求思考のトレーニングワーク編 -

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