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④散剤の分包


 粉薬の調剤業務は比較的手間が多いです。特に小児科の処方が多いところになります。

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 手順

基本的には採取量の計算→秤量→分包とういう順序になります。

1.採取量の計算

 まず取る前に採取量の計算です。

 例えば

 「 カルボシステインDS 50% 750㎎ 1日3回 毎食後 5日分」

 この場合の採取量はどのくらいか薬剤師さんならわかりますよね。

 正解は7.5gです。

 話が長くなるので成分量、製剤量の話はまた今度にしますが、成分量で750㎎/日、製剤は50%の製剤なので1日量は1.5g。それが5日分なので全部で7.5gになりますね。薬学生は最初ここでかなり混乱しますよね😅

 ちなみに当院では粉薬はデータが飛んでくるので計算しなくても自動で採取量が表示されますが、確認のために計算するようにしています。

 昔は倍散というものもあり、投与量の調剤過誤の原因にもなりました。計算間違いで10倍量で飲ませてしまった・・・。なんてことがないようにしっかり計算しましょう。とても大切なことです。


2.秤量

 計算ができたらいざ秤量・・・ではなく忘れてはいけないのが秤量機(重さをはかる機械)の水平確認です。これは料理などに使う家庭用の秤量機と違うところですが、正確な量を図るために秤量機が水平かどうか確認するものがついています。秤量機も水平にできるように高さを調節できるようになっています。

 まだあります。粉薬はどこについているかわからないので、秤量機の周りや、繰り返し使っている秤量皿などはしっかり集塵機で掃除します。また散剤分包機も掃除し、前回の残った粉が混ざらないように注意します。

 それができたらら、薬剤を棚から取ります。薬の瓶は製品そのまま使う場合もあれば、よく出るもの・大量に出るものなんかは別に瓶に移している場合もあります。粉なので見た目がかなり類似しています。取り間違いには本当に注意しましょう。

 いざ秤量ですが、まず秤量機が“0.0”になっているか確認します。粉を大量に計る時はいいのですが、少ないときは計るのが大変ですね。小児の薬は0.00まで計るときがあります(下二桁が限界です)。これが本当にちょっとした風(動いた時の風や、散剤棚の集塵による風)で変動します。たしかか、秤量時は±5%まで許されていますが、小児の薬なのでできる限りぴったりにしたいので自分は頑張ってしまいます🤣

 細かい微調整はスパーテル(スプーンみたいなの)で調節しましょう。混合する薬剤があるときは乳鉢、乳房で混ぜます。一応混ぜ方に決まりがあり、左右に10回を3回ずつ回して混ぜると自分は教わりました。先輩の中には混ざればいいんだよという方もいますが、一応自分は守っています。国家試験の問題でもありますが、混ぜすぎもダメだそうです。

 採取量が少ない場合は、賦形することがあります。賦形とは何するかというと乳糖などで「かさまし」することです。詐欺ではないですよ🤣 採取量が少ないといざ分包した時に量が偏ってしまうんですね。しかも分包した時は多少なりともロス(分包機についたり、空中に舞ったり)が出ます。それの誤差を減らすためにも賦形は必要なんです。賦形剤は基本的には乳糖ですが、乳糖ではダメなものとかもあります。賦形のルールは決まったものはないので、その施設のルールでしているかと思います。

 話すと長くなるので簡単に説明しますが、粉砕という業務があります。脳外科や脳神経内科などは嚥下機能(飲み込む力)が落ちている患者が多く、内服する錠剤を粉砕して粉にする作業もあります。昔粉砕患者の処方日なんか半日散剤分包機の前から動けなくなり、本当に粉まみれになり、空中に粉砕の粉が舞うのでマスクは必須です。あとでご説明しますが、今では簡易懸濁というものができ、粉砕患者は少なくなりました。ほんとに簡易懸濁様々です😂。

 自分は見たことがないのですが最近では自動散剤分包機があるらしいですね。羨ましいかぎりです。でも人がやるより正確で本当にいいと思います。整備とか清掃が大変そうですが💦


3.分包

 いざ分包です。ここは特にすることありません。秤量した薬剤を入れて、分包機に入れてスタートを押す。出てくるのを待つだけ。これを待つ時間が長いので別の業務をしています。たまに忘れて放置してしまうこともあり、看護師から催促されることもあります。ずーっと出てくるまで眺めている薬剤師もいますが、それはそれで働いてよって思っちゃいます。

 これにて完成ですね。できれば最後に粉の偏りがないかや、異物が入っていないかまで確認できるとベストですね!



次回「水剤の計数調剤」

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