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吉見町立小学校の設置に必要な条例改正案を、吉見町議会が否決、今後どうなる?

児童数減少を受け、吉見町では令和5年2月に「吉見町立小学校統合再編計画」を策定して、設置する学校名を町民アンケートで最も多かった「吉見小学校」として整備を進めています。この校名と設置する場所を、町の条例に規定するための今回は改正案でした。

『地方自治法』244条の2第2項「条例で定める公の施設の廃止(中略)出席議員の三分の二以上の者の同意」とする規定に沿って、質疑と討論、そして採決が行われることになっていました。

吉見町議会は2024年3月6日に開いた本会議で、町内6校の小学校を統合し、1校の小学校を新設して再編する町の条例案を、議長を含む全議員による特別多数議決とよばれる採決方法により、全14人の三分の二以上、10人以上の賛成をもって採択される規定でしたが、賛成が9人、反対が5人、そのため条例案は「賛成多数」となる10人にひとり及ばず、否決されました。

統合再編による「新設される学校名」と「新設される場所」、それにともなう「既存校の廃止」が吉見町議会で議論されるのは、今回が初めてです。

地域から子どもの声が消える、地域が衰退する、学校が減ると住民も町外に転出するのではと、学校統合再編をめぐる町の計画が進むことに戸惑う方がいらっしゃること、様々なご意見と不安をわたしも伺ってきました。町が条例案を提出したことを「議論は深まっていない。拙速だ」とする受け止めも伺いました。

町民の声を受け、会派「令和の会」所属議員から「統合には反対しないが、2校に止めるべき」とする意見、共産党所属議員から「統合に反対。もう少し時間をかけて議論を」とする意見を聞きました。

一方、子どもを取り巻く環境は厳しさを増しており、現在の学校教育環境が子どもにとって最善の状態でもはやなくなっています。校舎は老朽化が進み、6校すべてが学年にクラスはひとつのためクラス替えを経験することがなく、児童数が減ったため生じた均一性、協調性が重んじられ、多様性を学ぶ場ではないことも指摘しなければなりません。みんな仲良くと教えるのは当然です。しかし、それにもまして幼少期から学生期にかけての多感な時期を、多様な価値観のなかで育つことが、多様性を感じながら育つことが、社会に幾多ある困難を超えていくうえで欠かせない経験、欠かせない社会にますますなっていると感じます。そう訴える子ども、保護者が現状に大きな不安を抱く様子を、わたしはこれまで伺ってきました。

ゆえに学習環境を整えること、吉見町の場合小学校6校を1校に統合再編すること、一定規模の児童数を集め、それを支えるに十分な教職員を配置し、発達に速さの違いがある児童生徒を成長に応じて受け入れることのできる多様なクラス編成を可能にすることを望み、そのために必要な条例改正は「止む無し」とする町民の受け止めをこれまで伺ってきました。

これまで町民から伺ったご意見から、わたしは条例改正に賛成の立場で議論に加わったものの、条例改正は否決となりました。しかし統合再編の計画そのものが止まったわけではなく、令和6年度は基本構想および基本設計が進められることになっています。「整備計画が進まなくなるのでは」と不安を抱く住民から、署名を集めたい、そして議会に、町長に届けて欲しいという声が湧いたため、議会と町長への意見書提出の紹介議員とならせていただくことになりました。住民の声を受けて、そして何よりこどもの声を受けて、議会での議論がさらに深まるよう努めてまいります。

この署名は紙とオンラインで並行して集め、5月上旬に集計し、町議会と町長への意見書(請願)に添えて、5月中に議会事務局へ提出する流れで、それを受けて町議会では6月定例会で再度議論することになります。オンライン署名サイトはこちらです。皆様の御賛同、ご意見をお待ちしております。


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