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新しい発見のあった 雄町サミットin椿山荘

こんにちは、安井郁子です。
記事を読んでくださる方、応援してくださる方、いつもありがとうございます。
先日は、ひさしぶりの「雄町サミット」の試飲会に行ってきました。”岡山産雄町米” で造った全国の日本酒が集まる試飲会です。

岡山県産雄町

タイトル写真は、今回の雄町サミットで掲示されていた資料をスマホで写させていただいたもの。このイベントは、JA全農おかやま、岡山県酒造好適米協議会、岡山県酒造組合との共催にて、開催されました。
岡山県産の雄町を原料にした日本酒を多くの方に知ってもらいたい、好きになってもらいたい!という思いから開催されているイベントです。

雄町の歴史

日本酒好きなら誰でもご存じの酒造好適米「雄町」は、1859年に備前国上道郡高島村字雄町(現岡山市中区雄町)で発見された歴史ある酒米です。
代表品種である「山田錦」や「五百万石」のルーツとなった原生品種でもあります。

   雄町は、晩生品種で9月上旬に出穂し、
10月下旬に成熟期を迎えます

ところが、背丈が160以上と高く台風で倒れやすく、収量が少ない、病気にもなりやすいと、栽培面のが難しさなどから、生産されなくなってしまい一時は、「幻の米」と呼ばれたこともありました。が、平成に入り岡山県の  利守酒造さん等の「地元米雄町を復刻させたい」という強い志のある方々が、熱心に動かれ、復活することができました。もともとポテンシャルの高いお米ですので、各地で賞賛されるようになり、最近では日本全国のお蔵でも岡山県産の雄町米が幅広いタイプの日本酒に、使用されるようになりました。

現在では、雄町の生産量の約95%を
岡山県産が占めています

今回は、そんな岡山県産雄町をたっぷり味わうことができました。

コロナ禍で、試飲会の頻度も減り、雄町サミットの参加も久しぶりです。
変化が激しいこの時代ですが、今まで持っていた、雄町の「旨味を大切に引き出し、濃淳で少し甘みのあるタイプ」のイメージは、そのままなのでしょうか?
全制覇を目指し、利き酒をしていきます。

会場での雄町の香味特性は?

味がのってきたもののまだフレッシュ感が残る若々しい雄町、
意外にしとやかで控えめな雄町
キレイでスマートな雄町
ぽっちゃりまるみのある雄町
濃淳でうまみのあるボリューム感のある雄町

私もそうですが、昔からのイメージ、どちらかというと ”濃淳タイプの雄町” にノスタルジーを感じやすい方が多いように思います。

しかし、今年は、評価の対象には、ドライな酒も加え、雄町の香味は、よりバラエティーが増えてきました。

逆に、ブラインドだとしたら「雄町」とは、見分けにくいものもあります。

優秀賞のゆくえは?

最後に今回のサミットの優秀賞も発表されました。

吟醸酒の部 132アイテム中30銘柄
純米酒の部 精米歩合60%以下  44アイテム中11銘柄
純米酒   精米歩合60%超の部 33アイテム中8銘柄
が選ばれました。
弊社取り扱いのお酒でも、いくつも優秀賞に選ばれました。

【吟醸の部 優秀賞に選ばれたもの】

◎米鶴 純米大吟醸 雄町  米鶴酒造(山形県)
 7号と1801のブレンド 速譲で火入れのお酒です。
 日本酒度+-0,酸度1.6、アル度16% 香りも華やかすぎず、
 バランス良い香味です。

米鶴 純米大吟醸 雄町

◎玉乃光 純米大吟醸 備前雄町100% 熟成古酒 ゴールド               玉乃光酒造(京都) 通常の備前雄町もありましたが、こちらは、H26BY。9号酵母の火入れの熟成酒。日本酒度+3、酸度1.5、アル度16%。熟成することでの、雄町らしい伸びやかさがなかなかいい感じに、出ていました。


玉乃光 純米大吟醸 備前雄町100% 
熟成古酒 ゴールド


  
◎赤磐雄町 純米大吟醸 生  利守酒造(岡山)
 今回、利守さんは、吟醸酒の生酒の出品でした。
 日本酒度+4、酸度1.5、アル度16%。
 生だと、また、違うニュアンスの雄町が楽しめます。
 大吟醸らしい華やかさもみられました。

赤磐雄町 純米大吟醸 生


 
◎KAWATSURU まめ農園雄町 川鶴酒造(香川)
 こちらは、R2BYの生酛で、日本酒度+-0、酸度2.0、アル度16%。
 ドライになりすぎず、柔らかな旨味と生酛ならではのしっかりした酸が、
 豊さな味わいを導き出してくれます。

◎酔鯨 純米大吟醸 寅 酔鯨酒造(高知)
 日本酒度+0.7、酸度1.4、アル度15%。
 大吟醸ながら、協会1401号酵母使用なので、派手ではなく穏やかな香り。
 バランス感の良いお酒なので、お米の特徴が見えやすいです。
 食中に飲める純米大吟醸です。

酔鯨 純米大吟醸 寅

【純米の部】

純米の部では、残念ながら弊社取り扱い銘柄では、優秀賞は無かったのですが、出品はされていて、注目されるお酒はたくさんありました。
個性的なところでは、香川の川鶴酒造さんの「KAWATSURU MAME NOEN ほぼ麹」。カレー等個性的な料理にもあわせられる乳酸菌飲料のような「讃岐くらうでぃ」等も人気の川鶴酒造さんですが、NORAのなかでも、伝統的な手法「水酛」で造った、日本酒度-27,酸度2.8、アル度13% で、色調も黄金色に近い輝きを持ち、ナチュラルな甘酸っぱさで、アルコール度は低く軽やかな日本酒でした。

また、広島の藤井酒造さんの「龍勢 無垢の系譜 2018BY」や「弥栄鶴YASAKA TURU 秋倶楽部 2021」等も、ボリューム感のある料理と楽しめるタイプの雄町でした。

味の幅があり、ふくらみのある味わいの雄町

日本酒造組合中央会の宇都宮仁先生の総評では、
「雄町は育て方も難しく一旦すたれかけたにも拘らずまた復活したのは、やはり雄町に魅力があるからにつきる」
「醪で溶けやすく、味の幅があり、ボディーがある」
「酒質は甘口でも辛口でも調和、膨らみがあり、風格がある」
「造り手の個性が現れやすく、酒質は色々」
「今年の審査では、味の幅があるよう、ドライな酒も含めて審査をした」
とのこと。

愛いっぱいのオマチスト

今回、会場の審査員の方々や、参加者をみて思うのは、他のお米以上に、雄町に対しては皆、なんだかんだ思い入れがあるように感じました。
「雄町であるなら、こうであってほしい!」と、強い思いを語りだし、オマチスト化していく人も。
やはりぽっとでの、新品種とは違う、歴史的重みと、酒造好適米としての風格を感じました。

色々なタイプがありますが、イメージとしては、どれもきどってはいない「愛されキャラ」。
でも、品があり、まだこの先熟成を重ね、ますます風格もでてくるだろうなあ と想像ができるお酒も多かったです。

「進化する雄町」、「熟成をしていく雄町」とも、今後も追い続けたいと思います。

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