見出し画像

開運日を気にする人

丁寧に準備をして
ある程度
「見ていただく」とか
「食べていただく」ということに
耐えうるところまで辿り着いて
なんでもない日にオープンするお店と、

なんだか雑な突貫工事で
まだ味も定まっていないのに、
その店の人にとっての「開運日だから!」と、
例えるなら傾いたドアのままだけれど
オープンするお店と…。

私はどちらに入りたいかな、と考える。


ま、言わずもがな
前者だな。

前者で、
開運日に向けて準備をして、
満を持してその日にオープンする、
っていうのはわかる。
それはわかるんだ。

同じことをするなら、
そして選べるのなら、
運がいいよね、っていう日を選ぶのは
アリだと思うんだ。

けどさ、
開運日みたいなのを
やたら気にする人に限って、
つい後者みたいなこと、やりがちじゃない?

で、オープンはしたけれど準備が間に合っていなかった分、
すぐに猛烈に頑張って
クオリティを上げていくかというと、
そうでもなかったりして。


うちのそばに
人気の和菓子屋さんがある。
美味しいし、
誠実だし、
手頃な価格を守ってくれている。

その和菓子屋さんは
30年くらい前に
当時我が町で営業していた和菓子屋さんが廃業されことになり、
「町から和菓子屋がなくなると困る人がいるから」と
後継者を探してくれて、
結果、居抜きで全部引き継いで開業したお店だ。

で、30年前の話。
そのお店のオープン当時、
前の和菓子屋さんのお墨付きだし、ということで
とっても期待した町の人たちが
たくさん買いに来た。
それこそ行列ができるほど。
町の人が期待しているから、と
ずいぶん急いでオープンしたような記憶がある。
最初の3日くらいは
行列が途絶えないくらいの忙しさ。
釣りでいうなら入れ食い状態。

だけど
新しい和菓子屋さんのお菓子を食べた我が町の人たちは
ヒソヒソとではあるけれど
「あんまり、美味しくないね」
「期待したほどじゃなかったね」
と言い出した。

オープンして3日くらいにして、
いい評判をひとつも聞かないくらいの状態に。

そこから
まだ若かった和菓子屋さんは大変だったと思う。

一度食べてもらっちゃったもんだから
どんなに美味しくバージョンアップしても、
「いや、前に食べたから…」と
なかなか買ってもらえない。
イマイチだね、が広がってしまって
アドバンテージどころかマイナススタート。

最初の準備をしっかりしていたら、
しなくていい苦労だった気がする。

その後
すごく頑張っていらしたし、
誠実だし
勢いもあるし、
それで数年で挽回して
今はすっかり町の人気のお店だけれど。

もとい。

何かを始めるって
勢いが必要なのは確かだから、
開運日に始めるなら
それでもいいと思うの。

だけど
「運のいい日に始めたから
 私はうまくいく」
では決してない。

もし、まだ「お出しできるレベルかどうか…」みたいな感じで
だけれど運がいいからとスタートするのなら、
しばらくは立ち止まらないで
とにかく「より良い」を目指して
邁進邁進、
なんなら驀進するくらいで
ちょうどいいんじゃないだろうか。

まっしぐらに。

開運日は
開運したいこちら側が
「使う」
「利用する」もの。

後者のパターンは『開運日に使われる』だと思うの。

それは違うと思うのよ。
開運日に使われると、
なんか残念なことになりがちなんじゃないかしら。

ちょっと後者のパターンを
どこかでちらっと目にしたの。
それで我が町の美味しい和菓子屋さんの
30年前のことを思い出したので
勢いで書いてみたYO。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?