見出し画像

映画『Girl/ガール』ネタバレあり

Girl/ガール(2018年製作の映画)

星5コです

星5コですねー!
なぜなら素晴らしいから。


****


バレエって体を「バレエの体」に変えるんですね。

どのスポーツもそうかと思いますが、
体を作り変える必要がある。

バレエの場合、印象的なのは足。
爪先立ちでステップするために
痛めつけながら徐々に足を「固くする」そうです。

皮膚が剥がれ血が流れる変化。

ララはバレエの体に変え、
そして本来の性の体に変える物語です。


****


ララは自分の気持ち全然喋んないんですよ。

優しいパパが「大丈夫?大丈夫?」って聞いても、大丈夫って言うだけ。

表情にもそんなに出さない。


でも、開始数分でもう僕はララの感情と同期しましたので
直接ララの気持ちが僕の脳に電波信号となって伝わってきましたよ。

いやぁ、辛かった。。。

女子なのに

毎朝朝勃ちしちゃうわけですよ。

毎朝最悪の気分じゃないか!と。
ほとんど実感に近いような苦しみを僕も感じましたよ。
一瞬のシーンだし
ララも別に大きなリアクションとるわけじゃないんだけど
もうわかるんですよ、同期してるから。。

****

全体的にセリフ少ないですね。

少ないセリフでも表面だけじゃなく
その裏面や側面の感情やら状況やらを伝えてくれます。

セリフ自体もうまいし
演技もみなさん素晴らしい。

全員本人かと思うくらい。


****


ララを演じたポルスターくん

はまぁまぁホントに白眉。
どうやったらあんな微妙な表情のパターンを表現できるんでしょうか。

バレエの技術の高さもすごいけど
バレエの下手さもリアル。

ほんとに訓練してバレエをできる人だからこそ、あの転び方ができるんだろうし
「バレリーナにないたい」
っていう気持ちのどうしようもなさが体からにじみ出てました。

ララがバレリーナを目指さなければもうちょっと楽かもしれないのに…
って思っちゃうんだけど
ララ自身もなんでかわかんないくらいに
「バレリーナになりたい」んだろうなと思わせる気迫がありました。


****


お父さんもいいですね。

役柄的には唯一の安心。
ララに理解のある優しいお父さん。

これが上っ面にならなかったのは演技力かと。


あと、女子グループのリーダーね。


顔の濃い、美人の子。

最初はララに対しても隔たりなく接してくれる友達って感じで
僕も「この子にすがってクラスに馴染んでいけ!」と願うんですが、

ララがバレエの力をつけて台頭してくると
今まで「かわいそうな子」だと下に見ていたララがきょういになってきて
あの地獄のお泊まり会ですよ。。。

「3本目の足見せてよ」から「ララ怒ってないって〜」までの地獄。

女子リーダー最高に最悪で素晴らしかった。
彼女のバックグラウンドなんてなにも描かれてないのに素晴らしい奥行き!

****


エレベーター男子との〝やりとり〟も切なかったですね。。
彼の手の動きを制するララの手の切ないこと。。

そして私にはこれしかできないからって行うあの性技。。
涙。。。

****


105分ですよ。

ワンシーンが短い。
バンバン進む。

お涙頂戴みたいな時間が一切ない。
ザンザンバンバン進む。

でも、セリフもシチュエーションも完璧だから、全て以上の情報を得てしまう。


いやぁ衝撃!
素晴らしい!

ラストについては以下に。

ギャア!




僕はララと完全に同期していたので、
ラスト、
冷蔵庫から氷を取り出してボウルに入れた時点でなにするのかわかってしまいましたよ。。

それまでたしかに僕は
「俺だったらチンコ切っちゃうよ…」と思いながら観てました。。
ララの辛さが伝わってたんでね。

でも、実際に切るって。。
ハサミかよ。。

オープニングのピアス開けのシーンと対になってるんすね。。

画面見れませんでした。。
氷で冷やしてなんとかなる部位じゃねえことは知ってますからね。。

もうなんと辛いことか。。

エンディング曲はオンブラマイフ。

木陰で 
今までで一度もなかった
これほど愛しくて優しくて
快いものは

ララのこれからの人生が愛おしく優しく快いものであってくれ、と願いますよね誰もが。。

****

トランスジェンダーの女性は「女性」です。

チンコ取らなきゃ女性だと認めてもらえないなんておかしな話です。

正規の性別適合手術でも、死ぬ確率もあり後遺症や障害が出る可能性もあるとのこと。

そんな危険なことを「やらなきゃ認めてもらえない」なんて間違ってる。

本人がしたいならいいけど。

ただ、
生適合手術後の自殺率も高いらしいです。

手術を受ければ女(or男)として認められる!
と期待して手術を受けるわけですが
やはり顔つきや体つきが完全にその性になるわけではないですし
あんなに期待した手術を受けても自分のもともとの性になれないのかと
絶望してしまうことが多いとのことです。。

もうなんか。。。哀しくてつらくて。。。。。

****

僕はこの映画を通してララになりました。
ララ気持ちになりました。
(わかるわけねーだろ、わかられてたまるかと思われるでしょうが。。)
ほんとに、苦しくて辛い。。

こんなにも辛い思いをしなきゃいえない状況が早く改善されますようにと願います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?