見出し画像

そろそろ、お父さんという制度は廃止したらどうでしょう。


正確に言うと、「子どもの養育費をお父さんの収入に依存する制度を廃止する」という意味です。
具体的にどうするかというと。
まず、「次世代育成税」を設定し、収入のあるすべての人に適用します。ただし年収200万とか、自分一人が食べていくのが精一杯というような人には月1円なり5円なりで気持ち程度に支払ってもらうとして、いわゆる「妻子を養える」収入のある人には実際に妻子がいるいないにかかわらず、妻子を養う人が妻子のために支払うのと同等の金額を「次世代育成税」として徴収します。そのかわりこの税を払っていれば扶養義務や養育費の支払い義務はいっさいないことにします。扶養控除も廃止します。そうやって得られた税収を、すべての子どもたちに平等に分配します。
この税は男女を問わず課税されます(ただし現状では女性で妻子を養える収入のある人は限られるでしょうが)。したがって、この制度下では「すべての働く大人がすべての子どもたちのお父さん」ということになるわけです。

相続も変わります。配偶者のいる人が死亡した場合、財産の二分の一を配偶者が相続し、残り二分の一は次世代育成税としてすべての子どもたちに分配されます。配偶者がいない場合、全財産が分配されます。誰でも「社会全体の子ども」という子どもがいる前提なので、親や兄弟への相続はありません。
ただし自営業や伝統芸能の家元等で家業に必要な土地建物や文化財をどうしても跡継ぎに譲らなければいけないような場合、裁判所に申請して特例で特定個人に財産を相続させることができます。その場合もすべての子どもたちには遺留分がありますので、遺留分相当額を納めなければなりません。

この制度の最大のメリットは、子どもの貧困問題の改善です。子どもが貧困に陥る原因の多くはお父さんがいなかったり、いても養育費を支払わないことによるからです。父親の経済力という、本人の能力や努力とは何の関係もないことで人生のスタート地点から将来の可能性を奪われる理不尽をなくすことができます。
また社会から養育費が支払われるため、母子にとっては生活のために悪質な父親の暴力や暴言を耐え忍ぶ必要がなくなります。
男性にもメリットがあります。経済力で選別されなくなるからです。この制度下では高収入で性格の悪い男性と結婚することには何のメリットもないので、あとは人柄次第です。すくなくとも年収が低いせいでいい人なのに結婚できないということはなくなります。むしろパート社員同士で結婚して、二人して交代で育児するという道も開かれます。お父さんの経済力に依存する社会では、女性はどうしても収入を優先して長時間労働の男性と結婚せざるを得なくなり、その結果父親不在の家庭で孤独な育児を余儀なくされることになりがちですが、父から子への財産の移譲がない社会では、お金はなくても気立てがよくて家事育児ができる人のほうが結婚相手として有利です。

子どもたちにとって、お金と精子の提供元ではなく、本当に体を張って自分を育て守ってくれる人が親、という時代が来ることになるでしょう。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?