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当院では運動療法を積極的に推奨、実施しています。
特に生活習慣病をはじめ、心疾患、腎臓病、呼吸器疾患など、運動療法が効果的であるとされている疾患は多岐にわたります。

人工透析患者さんにも週に1回透析治療をしながら、ベッド上でストレッチや筋力トレーニング、自転車漕ぎなどの有酸素運動を行っています。

クリニックではまだ数は少ないですが、外来での心臓リハビリテーションも実施しており、大学病院や総合病院で治療を行った後に当院でリハビリテーションをする方もおられます。


運動療法が健康や病気の改善、予防に良いということは言うまでもない程によく言われています。

やはり適度な運動と食生活は健康の維持には欠かせません。


しかし運動療法に携わる身として、悩み、難渋する点があります。
それが運動を実施、継続してもらうことです。

運動が良いことは多くの人が感じていますし、ある程度理解もしていると思います。
しかし実践となると、開始、継続する確率はなかなか上がりません。

こちらとしては運動をすることで良くなるであろうと思っていても、実際運動を習慣的に行っていなければ変化は乏しいのが現状です。


しかしこれは患者さんだけの問題ではなく我々の問題でもあります。
例えば、運動を習慣的に行っているスタッフがどれくらいいるでしょうか。

数を数えたことはないですが、おそらく全員ではないでしょう。

意識的にエスカレーターやエレベーターを使わず、階段を利用しているスタッフは何人いるでしょうか。

こうなってくると、自分がやっていないことを人にするようにお願いをしている状態でもあります。

例えば財布を買うときに、同じ財布を実際に使っている人と、使っていない人、どちらの話を聞けば説得力があるでしょうか。

テニスをしている人としていない人、どちらの方がテニスの楽しさを伝えられるでしょうか。

やってないことを勧めても、相手に熱量や効果などは十分に伝わらないのではないでしょうか。


また運動を勧めた際に迷いなくはじめる方もおられます。

これにも少し不安を感じます。

医師や看護師、療法士に言われたからやる、でもいいのですが、そこになぜ?という段階が抜けています。

何をやるのか?どうやってやるのか?ということに関心がありますが、大切なことはなぜやるのかです。

目標や目的を明確にするという過程がないと、辞める理由をすぐに探してしまします。

痩せるために運動をしているのか、楽しく旅行するためなのか、介護を受けないためなのか。

それぞれに理由があると思います。

これは運動に限ったことではないと思いますので、何かをはじめる時には一度“なぜ”を考えてみるのもいいかもしれません。


私は理学療法士ですが、学会や雑誌、本などで知ったことを、そのまま患者さんに言うのではなく、できるだけ一度自分で試してみることをやっています。


自分に合ったから、他人にも合うだろうということではなく、一度自分で試すことで、相手への熱量が上がるはずです。

口先だけではなく、本気で良くなって欲しいという気持ちがあれば、その熱意に答えてもらえると思っています。


結果、その人がやるかやらないかを選択する訳ですが、“やってみる”の選択をしてもらう努力をこちら側が怠ってはいけません。


まだまだ未熟ですが、運動の良さや効果、爽快感などを少しでも多くの方に味わっていただくためにも、創意工夫をして情報発信していきたいと思います。