私をラッキーガールにしてくれた言葉

「さとちゃんはラッキーガールなんだよ?」。会うたびに私にそう言う知人がいる。

知人のキラキラした目に、励まそうとか自信を持ってもらおうとか、そんな気遣いは混じっていない。心から本当に、私のことをラッキーガールと信じているのだ。

私はラッキーガールなんかじゃない。

私はごくごく普通の会社員だ。特に大きな成功体験があるわけでもない。これといった特技もない。どこにでもいる女性だ。

とは言っても、やってみたいことはある。憧れの生き方もある。

セラピストになりたい。声をかけていただいたモデルの仕事もちゃんと取り組んでみたい。占い師としても月に数回活動を入れたい。おいおいは週1〜2回くらいカフェでも働いてみたい。実はいっぱい休みたい。

そして、風通しが良くてキッチンが広いおうちに住みたい。おうちでのびのびお昼寝をしたり、お料理したりするんだ。側には大好きな家族がいて、一緒に笑い合う。ペットを飼うのもいいかもしれない。

なんてね。妄想は膨らむけど、今だってそこそこ幸せだしさ。私には今くらいがちょうど良いのだ。

私はラッキーガールなんかじゃない。

今日は久しぶりに知人に会う日だ。食事をしたりして2〜3時間くらい一緒に過ごした。今日も知人は何度も言うのだ。「さとちゃんはラッキーガールだから」と。

知人いわく、私は人一倍のラッキーガールらしい。なんの根拠があっていつもそんなこと言うのかと、だんだん楽しくなってくる。

知人と別れて家に着くと、スマホで求人サイトを覗いてみる。今まで何度も眺めてきた画面がそこにある。

「私に出来るだろうか?うまくやれるだろうか?」と考える。

たとえうまくやれなかったとしても、私なら大丈夫なのかもしれない。うまくいかなかったら、やり直せばいい。助けてくれる人もたくさんいる。

けど、やっぱりうまくいったら嬉しいな。いつもと違う明るい妄想も悪くない。

私は求人サイトに志望動機を書き始める。大丈夫な気がする。

どうせ私はラッキーガールらしいから。

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