ゲーム音楽をコンサートにするために

6/18すぎなみ彩楽定期を控えて、いろいろ思う事。

◆ゲーム音楽について

最近たくさんのオーケストラや吹奏楽団でエッジの効いたプログラムとなっています。

聞き手、演じ手それぞれに「ゲーム音楽に参加する=ゲームの世界に入り込む」事は、実は昔からある「没入体験」としてのコンサート。

古来より、ファンタジーの世界を文学で表したり、映画で表したり、発達して今はアニメで表し、ゲームで表し。

その演出の一部分として音楽の占める重要性は極めて高い。耳からの情報に、ノイズだけではない時間軸の管理が成されるという、知的・文化的な創作について、こちらも古来から音楽の役目。

ゲーム音楽史は、テクノロジー史である。

とても制限制約の大きい中に、没入体験の重要性に、見識ある音楽家が関わり合って、素晴らしい音楽作品をクリエイトした履歴は、音楽史的はショートながらとても驚く「活用の発展」を見せたと思います。

クラシック、映画音楽、ミニマル、ロック、テクノ、、様々な音楽のスタイルを活用して、ゲームの持つ世界を演出する。

他の音楽の亜流ではなく、れっきとした「キャラクター」と「テーマ」を持っている。

そのコーディネートの妙味には、心から驚きがあります。

◆ゲーム音楽をコンサートにする事について

さて、しかし、実際にこれらをコンサートとして成立させるためには、とてもバランス感が必要だとすぐに気付きました。偏った感覚でのぞんでは、危険。ここまで発展したゲームの世界、であっても、「ゲームは全然やらないし」という方も多い。ということは、ゲームの没入とは無縁、ということは、どのようにこれらの音楽を受け止めて頂けるのだろうか。

すぎなみ彩楽ウインドシンフォニーの定期演奏会は、0歳から100歳までの市民の皆様にご観覧頂ける楽しいコンサート、を目指しています。その点で毎回かなり団員の工夫溢れる音楽創作が叶っていて、演奏も(上手ではないけど)エネルギッシュでクリエイティブな内容に。

純粋に、音楽のもつストーリー性、または壮大なシンフォニー、華やかなポップス作品として、聞き映え見栄えする事に注目しないと、飽きられるよね、だから、工夫しないとね、というのはメンバー全員の共通認識としてのぞんでくれました。なんて素晴らしい方々。

それにしても、作品の持つエネルギー感とスピード感に、吹き飛ばされそうな勢いで、ランスルーをするたびに、ヘトヘトになります。

それでも、「この世界を自分達の手で奏でられる事」、そして「スピーカーから聞こえてきたあの音楽の世界を、生で体感できる事」の奥行きは、とてもスリリングで、また感激の経験です。

今回のために、楽団として、大編成・小編成合わせてスコアを6曲分書き下ろし。書き手が複数人いる強み。

福田洋介「ファイナルファンタジー」「星のカービィ」、

敦賀谷純「めざせ!ポケモンマスター」「UNDERTALE」「ゼルダの伝説」

小倉祐介「WARABE GAMES」(作曲作品。日本のわらべうたをモチーフに創作)

昨秋にポケモンのトレイラーに起用されたアルヴァマー序曲も、解釈をポケモンの世界に寄せて、きっと今回ゲーム音楽特集として違和感の無い音楽観で演奏します。

同曲の旧いファンには異端の解釈に映ると思いますが、まだノビシロがある作品だということ、そしてこの1980年台のアメリカ吹奏楽の作品が、後のゲーム音楽に通じる様々なエッセンスを含んでいる事も、発見できたのは収穫です。

どんなコンサートに仕上がるのか、監督する私自身も、未知数ながら、とてもワクワクしています。楽しい音楽の世界へようこそ。

2023.6.14

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