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柳沢きみおという迷路 その2

前回の続きです。今回は
◆女関係gdgdもの
◆オッサンの生き様もの

です。柳沢先生のメインジャンルとも言えるでしょう。

ちなみに、あちこちに柳沢先生の談話が入ってるのは、ご本人が書いてるからです。自分の過去の作品を振り返る企画本『自分史 ギャグ~ラブコメ編』『自分史 ストーリー編』や、エッセイ集『なんだかなァ人生』『マンガの方法論 おれ流』などに出てきます。けっこう面白いですよ。信者視点ですけど。

それでは、信者トークはその程度にしておいて、本編に入っていきましょう。ここから先も信者ワールドです。

◆女関係gdgdもの

愛人 全8巻

愛人バンクなるものが社会的に注目されていたころの作。全8巻で4つの話が収録されています。

転落しちゃう主人公が多いんですよ。会社を辞めちゃったり、駆け落ちしちゃったり。そのあと、一緒に駆け落ちした女がじつは派手好きで、生活の苦しさからホステスを始めたら、金持ちの客に口説かれてそっちに行ってしまい、主人公は捨てられたり。

けっこう面白いんですけど、男女関係の意識が異常に古臭かったり、昔の漫画っぽさは感じます。これはけっこうヒットした作品です。

瑠璃色ゼネレーション 全7巻

トレンディドラマを漫画でやろうとした一作。たしかこれが初めての青年誌での仕事じゃなかったかな。ドラマ化されたと思います。

今では死語となったDINKSカップルの夫が主人公。彼は妻と社内の若いOL愛人の間を揺れ動きます。柳沢先生の王道パターンです。あとはたいしたストーリーはなく、トレンディな雰囲気だけの駄作です。

ただ、柳沢先生の黄金パターン、主人公の男がむなしくなってひたすらウダウダする描写はむっちゃ出てきます。駄作でもあり、柳沢濃度が高い作品でもあります。

妻をめとらば 全10巻

男の人生は妻探しであると悟った証券マンが、いろんな女性を遍歴する話です。ある意味もっとも柳沢先生らしい作というか、gdgd感では頂点を極めており、柳沢エキスが煮詰まってます。

読む価値ゼロですけど、柳沢先生ファンはこういうのを愛する人たちだというのは言えそうです。

ラストシーンは話題になりました。

妻を1

妻を2

柳沢先生によると、急な打ち切りを食らって、その怒りをリーマンディスの方向に向けた結果とのこと。

おいしい水 全8巻

健全で平凡な若いリーマンが主人公。彼女と同棲してます。隣にダチのカップルが引っ越してきて、その4人の人生が思わぬ方向に転がっていく話です。

男女関係ストーリーものとしてはこれが頂点かも。他の8巻に比べて、中身が濃く、いろんな方向に話が転がります。途中から展開のスピードがアップして予想外の方向へ。だいぶ面白いです。

自分の欲望「だけ」に忠実なクズたちの物語ですけど、それが柳沢ワールドの世界観です。

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