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【データ三麻】25 局収支論を超えて

平場を疑ってみると

これまで先制テンパイにおけるリーチ判断、押し引き判断において、局収支を用いて状況を評価してきました。この章では、要求打点に基づいて押すか引くかを判断していますが、要求打点とはオリ時の局収支と押したときの局収支が等しくなる打点、すなわちボーダーラインのことですから、局収支によって押し引きを決めていると言えます。

ただし、局収支を高めることが必ずしも成績(ウマオカ込みのポイント、または順位)をよくすることとイコールではありません。南場に入ってトップ目のときとラス目のときでは、収入と支出の価値は違ってきます。トップ目のときは守りが重要になりますし、ラス目のときは攻めに傾きます。テーマ4で「平場であれば局収支に基づいて打てばいい」と述べましたが、そうなると「平場とはなんぞや」ということになります。
※平場=あまり点数が動いてない場

そこで、このテーマでは局収支論を持ち点状況に応用する方法を提案します。これによって点棒状況に応じた、より緻密な押し引き判断が可能となります。

アガリ価値指標とは何か?

まず、平場からの乖離(かいり)を示す指標を考えます。アガリ価値指標と名付けました。

この指標は得点と失点、あるいはアガリと放銃のバランスを示しています。局収支に従って打てばいい場面では1.0になります。加点の価値が高い場合は1.0より高くなり、たとえば1万2000点を加点することによる順位上昇の影響が、1万2000点を失点することによる順位下降の影響の2倍である場合は2.0となります。逆に、加点の価値が低い場合は1.0より低くなり、具体的には1万2000点を加点することによる順位上昇の影響が1万2000点を失点することによる順位下降の影響の半分しかない場合は0.5となります。

アガリ価値指標の定義

アガリ価値指標の定義は次の通りである。
持ち点が1万2000点増加し、かつ親が流れた(局が1つ進んだ)場合の平均順位・半荘収支の上昇分を、1万2000点減少し、かつ親が流れた場合(局が1つ進んだ)場合の平均順位・半荘収支の減少分で割ったもの。
なお、平均順位・半荘収支の上昇分・減少分は、各局の持ち点毎の平均順位・半荘収支から求めた。
1万2000点という基準は、多くの対局では1万2000点以上の変動は少ないことから採用した。四麻では8000点としたが、ここで1万2000点としたのは、三麻は点数の変動が激しいからである。

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