フリー雀荘10

【麻雀】史上初!三麻のデータ本

『麻雀界』という雑誌に書いたコラムです。既刊本の宣伝といえる内容ですけど、売れ行きイマイチな感じなので載せさせてください。宣伝的な内容だし全編無料にしておきます。

三麻もデータ戦術の時代に

最近、新しい本の編集作業を進めてまして、7月末に発売される予定です(ぶじ8月に発売されました)。それが三人麻雀の本なのです。

一般に、公式な麻雀は四人麻雀であり、三人麻雀は非公式な存在であってギャンブル色が強い。三麻ってそんな認識じゃないでしょうか。

その一方で、三麻の熱心な愛好者も少なくなくて、とくに関西圏を中心に、四麻には興味ないけど三麻は大好きという人もそれなりに存在しています。

ぼく自身は熱心な三麻プレイヤーではないのですが、三麻ラブの人たちがそれなりにいるからには、三麻のちゃんとした戦術書を作りたいと以前から思ってました。それがようやく実現しようとしています。

この本の何がすごいかといいますと、膨大なデータが載ってることです。著者はみーにんさんという人で、データ研究者です。戦術を語ることよりも、価値あるデータを載せることに熱心なんですよね。

データとはどういうものか。

まず三麻とはどういうゲームなのか全体像が示されます。アガリ率、放銃率、流局率、平均打点など。

それらの数値から、三麻とは四麻の4人目がいないゲームであると説明されます。四麻だとオリて傍観者になる時間帯がそれなりにあるじゃないですか。三麻の場合はそれが少なく、たがいに前に出て殴り合うゲームであることが示されます。

たとえば、先制リーチをかけたときに、追いかけリーチをかけられる率が四麻より高いんですよ。四麻では、1人がリーチをかけると3人がオリてしまい、先制リーチ者がツモアガリするか流局するか二択になる展開がありますよね。三麻の場合はそういう展開は少なくて、だいたい誰かが反撃してくるゲームであると。

さらにデータでは、子のリーチ、親のリーチの平均打点が、抜きドラの枚数別に示されます。そのリーチに対して、自分の手が何点あったら無筋を押せるかという基準も示されます。自分の待ちがリャンメンか愚形かによっても必要点数は変わってきます。

どうでしょう。すごそうだって思いませんか?

四麻では15年前に『科学する麻雀』という本が出版されて以降、こういうデータは当たり前のものになっており、それをベースにした戦術が着々と築かれてます。

三麻ではこの種のデータはこれまで皆無だったのですが、ついにその流れが三麻にまで到達しようとしています。

4つのルールに対応

この本のすごさはもうひとつあって、それが4種類のルールに対応していることです。4種類のルールというのは、

① ツモ損・抜きドラあり
② ツモ損・抜きドラなし
③ ツモ損なし・抜きドラあり
④ ツモ損なし・抜きドラなし

の4つです。①は天鳳三麻のルールであり、④はMJ三麻のルールでもあります。

先制リーチ判断(テンパイしたときにリーチするかどうか)や押し引きなど打点が絡む項目では、ルールの影響が大きくなります。それらの項目では、①~④のルールごとに基準が示されます。

たとえば、アガりも振り込みもしなかった局の子の平均失点。ツモられとノーテン罰符の平均です。それが一番高いのは③ツモ損なし・抜きドラありで、3500点にもなります。四麻では1500点なのが倍以上です。

オリてる局は平均3500点ずつ失点していくわけで、ならば弱気にオリてても地蔵化して負けるだけ…と強引に押すと、振り込んだときの支払いも馬鹿高くなります。激しい殴り合いゲームであることがよくわかる数値です。

このアガりも振り込みもしなかった局の平均失点は、戦術を考えるときの基本になるもので、その数値が明らかになる意義はものすごく大きいと思います。

とはいえ、思ったより4ルールの差は小さかった印象です。プレイヤーの体感としてはかなり違うゲームだと感じられますが、数値で表すとやはりほぼ同じゲームなのだということでしょう。

研究者ならではのルール対応

これまでに三麻の戦術書は2冊出ているのですが、一方はプロ連盟系のストイックなルールを基準にしており、一方は天鳳三麻のルールに基づいてます。多様な三麻のルールがある中で、1つのルールしか扱ってませんでした。

それもしょうがないというか、著者は1つのルールに精通してるだけで、すべてのルールで答えを示せるはずがありません。

この本では、元となっているデータはすべて天鳳の牌譜ログから取っており天鳳三麻のルールなのですが、パラメーターをいじってシミュレーションを行うことで他の3ルールについても結果を推測してます。

著者は真面目な研究者なので、実測データがないルールの戦術を書くのを最初は嫌がったのですね。麻雀はロジックだけで考えてもけっこう当たらないと。

それを無理やり、三麻プレイヤー全体を対象にしないと本が売れないからと書いてもらったのでした。

どうでしょう。なんかすごそうだな…って思いませんか?

この本、読んだ人の評価はかなりいいんですよ。すごく役立った、使えるなどの評価をもらってます。
ただ食いつきが悪くて。。。まぁ三麻人は本を読まなそうだからなぁ(;^ω^)

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しょぼくれ中年ダイアリー

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本業は麻雀ライターの、麻雀以外の日々のエッセイです。出版、本、漫画についての話が少し多めです。

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