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柳沢きみおという迷路 その1

柳沢きみお先生という漫画家さんがいます。ぼくが「先生」という敬称を付けて呼ぶ数少ない漫画家先生です。

これがね、むっちゃしょーもない話ばっか。絵は下手だし、ほんとどうしようもないんですわ。

でもなぜか好きで、ガキのころから今に至るまでずっと読んでます。電子書籍の時代になって昔の作品も簡単に読めるようになったので、未読だったやつをだいぶ読みました。

誰しもずっと読み続けてる作家/漫画家っているもんだよね、という一般論が語れそうですけど、読まなくなっちゃった人もいるわけで、自分の中では何かしらの選別が行われており、やっぱ好きなんですよ。

いったいなぜ好きなのか? 自分でも謎です。愛に理由は不要( ー`дー´)キリッとは思いますけど、好きだと人前で言うのは恥ずかしくて。こんな大規模なnoteを書いちゃいましたけど。

ほんとしょーもないので、間違っても怖いもの見たさで読んでみようとはしないでください。今回は初老のオッサンがいかに愚かなのかを愛読漫画から理解しようという内容になります。いっぱいネタバレしますけど、誰も読まないので問題ありませんよね?

柳沢作品の世界観をぼくなりに言葉にしてみましょう。

・男の人生の価値は女である。
・しかし最高の女をゲットしてもむなしい。
・金と地位に意味はない。
・人生は迷いばかりである。
・若いときにスポーツに打ち込むのは価値がある。
・人生に知性は不要。というか存在しない。
・すべての組織は滅べ。

・リーマンの人生は空しい。滅べ!
・陶芸家の生き方がいい。
・中古ギター屋の生き方もいい。
・飲食店をやる生き方は許す。

・女の価値は見た目(若さが重要)が8割、話が合うかが2割。
・女の知性の頂点は女子アナ。
・女は清楚な黒髪系がベスト。別種のいい女は認めない。
・女はセックスでかならず逝く。
・女との関係は、食事、酒、セックスがすべて。デートは不要。
・若い女はみんな援交してる。
・若い女もワインを美味しいと言って飲む。

・酒は百薬の長。とくにビールとワイン。
・酒は冷やして飲め。
・日本酒はたまに飲んでやる。
・他の種類の酒は存在しない。

・いい食い物は、寿司、鍋、蕎麦、うどんである。それ以外は不可。
・イタリアン、フレンチはかっこつけで食うのも可。
・中華はほとんど存在しない。
・エスニックなどは完全に存在しない。

昔ながらのものしか認めない価値観で、偏屈な老人って感じですね。その印象は正しいです。年々、老害臭が強まってます。ほんと、なんで好きなんだろうな~(;^ω^)

さて、その柳沢漫画の紹介ですけど、一時期は「柳沢きみおは2人いる説」があったくらい途方もない分量を描いてるので、内容によって以下の9ジャンルに分類しました。何回かに分けて分野ごとに見ていく作品紹介になります。

◆学園コメディ
◆青年の生き様もの
◆女関係gdgdもの
◆オッサンの生き様もの
◆ハードボイルド
◆スポーツもの
◆女が主人公
◆特命係長シリーズ
◆大市民シリーズ

全1巻のものは省略し、全2巻以上のものだけ扱うつもりだったんですけど、あまりにも数が多くて、初期の「あ!MYみかん」「ミニぱと」「青春ときめきシリーズ」「スターズ」「ボーイズライフ」「Bのアルバム」「薔薇美少女」「正平記」は省略します。それでも途方もない分量です。

なお、巻数は最初に出したバージョンでの巻数にしており、画像(アマゾンリンク)は大合本が出てるものはそれを貼り、1巻あたりの収録ページが一番多いものを優先しました。

しかし、これって誰得なんだ?というか、自己満以外の何物でもねーよーなー(;^ω^)

◆学園コメディ

翔んだカップル 全15巻

名門私立高校に入学した主人公(♂)は、ひょんなことから、同級生のかわいいねーちゃんと同居することになります。そこから起きるドタバタ劇です。

大ヒット作となって、ラブコメブームを起こしました。ただし今の人だと、絵的にも、ギャグの寒さにも、リアルさが足りない人間関係も、読めないと思います。昔読んだ人がなつかしくて読み返すと予想外に名作だった。しかし今の人には読めない。絵も話も今じゃ通じない。そんな典型でしょう。

最近になって再読してみて、大ヒット作は違うなと思いました。話の展開が早くて、小気味いいんですよね。次々と起きる出来事もバラエティに富んでます。やはり名作は名作だなと。後半はダレますけどね。

同じようなタイプの作品に「課長 島耕作」があります。「課長」だけ名作なんですよ。「部長」はまーまーとして、「取締役」「常務」「専務」「社長」「会長」「相談役」「学生」などとはまるで違います。「課長」はストーリーのテンポと歯切れが良くて、クライマックスシーンは映画のような1コマになってます。やはり名作で、続編の駄作ぶりとはまったく違ってます。
若いときに気合いで名作を描いた漫画家さんは、しばらくはその遺産で食い続けられるってことなんでしょうね。「島耕作」は30年くらいやってますから、さすがに長すぎですけど。

話を「翔んだカップル」に戻しましょう。主人公は2人の女の子の間を揺れ動きます。最初に同居してたかわいいねーちゃんと、美人で学年トップの秀才ねーちゃんと。主人公は全般にかわいいねーちゃんを選びがちなんですけど、ぼくだったら秀才美人を選びたいです。そっちの方が断然いい女だと思うんですけど、違いますかね?

ぼくはちょうど中学生から高校生の時分にこれを読んでおり、悪い影響を受けました。高校生はこんな風に青春をやって学校をさぼりまくってるのが普通なんだなというイメージを持ってしまったのですが、そんなことはなかったという(;'∀') 馬鹿なガキは漫画を現実とごっちゃにします。

この大ヒットでラブコメブームが起きて、雨後の竹の子のように類似作が出ます。それが低俗な漫画ばかり(柳沢先生談)で心底嫌になり、せっかく開拓したラブコメを離れます。そして次回作は「朱に赤」というやたら暗い話に行ってしまいます。

ちなみに、低俗なラブコメと批判されたのは村尾ミオあたりでしょうね。柳沢先生ファンのぼくから見ても、「翔んだカップル」は低俗じゃなくて、他のラブコメは低俗なの? 何も違わなくね? と思います。「まいっちんぐマチコ先生」あたりをラブコメと見てたなら、確かに低俗ですけどね(==)ウム

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