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Mリーグとオンレ業界との深い関係


Mリーグvsオンレ業界

1月末の歌舞伎町フリー雀荘が摘発された件で、このツイート↓にはうならされた。

うーん。確かに!

Mリーグとオンレ業界(フリー雀荘)を比べたとき、どっちが大きい存在なのか、簡単には比べられない。

Mリーグは言うまでもなく巨大だけど、オンレ業界だって小さいとはいえ1つの業界だから、決して無視できるようなもんじゃないんだよね。

日本全国の雀荘の件数は推測4000軒、その中でフリー雀荘は2割の800軒くらいかな?と推定される。1軒につき雇用者が平均10人いるとするなら8000人。客が平均50人いるとするなら4万人。ね、決して小さい存在じゃないのよ。オンレなんて非合法だろ、そんなの潰せよって気楽に言えるもんじゃねーんだわ。

麻雀の未来を考えたら圧倒的にMリーグだ。オンレ店は、オンレということ以上に、時間外労働とか、従業員に自腹で経費(ゲーム代)を払わせてるなど、今の時代に通用しない。

麻雀を好きな経営者や金持ちはいっぱいいるから麻雀の応援団は多いんだけど、仕事として金を出そうと思ったらオンレ業界は駄目すぎる。業界トップのマーチャオにしても上場してなくて、上場審査に通るかといったら無理だろう。

その点、Mリーグはクリーンだから不安なく金を出せる。Mリーグにしてもザンリーグ三人麻雀競技団体にしても、小規模スポンサーをいっぱい掘り起こしており、ああ、麻雀に金を出す企業はこんなにいっぱいあったんだって教えてくれる。でも、その金をオンレ産業に使おうとしたら「それは勘弁してくれ」となるんだよね。

Mリーグには未来があってオンレ店には未来がない。じゃあ麻雀の世界はオンレ業界を切ってしまっていいのか?というと、じつはMリーグ自体が両足の足首あたりまでオンレにズッポリかっており、オンレ業界を切ったら存続は厳しいんだよな。

そんな話をしていこう。

プロ団体は雀ゴロ集団として生まれた

まずね、麻雀プロ団体はどういうものかという話だ。

日本プロ麻雀連盟の設立は1981年。最高位戦は、タイトル戦としては1976年に創設され、団体となったのは1985年。どうやってできたのかというと雀ゴロ集団なんだわ。まさにオンレ。どうしてそうなったかというと阿佐田哲也が深く関係してる。

麻雀って、明治末から大正にかけて日本に入ってきて、最初から中国の博打だった。なのになぜ麻雀荘という商売の形態が警察に認められたのかというと、小汚い博打じゃなかったからだ。貴族の文化的な遊び(博打)だったんだよね。菊池寛の時代だって金は賭けてたけど、文化的な人たちの優雅な遊びだった。麻雀は中国では庶民の小博打だったけど、日本で最初に始めた人たちが文化人で貴族階級の人が多かったため、日本では小博打にならなかった。

その流れは阿佐田哲也の時代まで続いていた。阿佐田哲也の時代に麻雀団体はおもに3つあって、今のプロ団体と実質的には変わらなかった。日本麻雀連盟、日本麻雀連盟、牌棋院だ。プロ連盟名誉会長の灘麻太郎さんは、プロ団体ができる前は道連盟のエースだった。

その3つの団体は紳士的な態度にこだわっており、博打的になるな、紳士として振る舞え、仕事はちゃんとやれ、そんなカラーがあった。雀ゴロの逆だ。とはいえ現実には麻雀で家を取られたみたいな話はいっぱいあったから、やはり博打は博打でろくなもんじゃなかったのかもしれん。実態はそんなものだったからこそ、麻雀団体は紳士としてやらなきゃ駄目だ!ってことだったのかもしれない。

紳士の時代を一変させたのは阿佐田哲也だった。阿佐田さんの小説を読むと、登場人物は全員が雀ゴロだよね。まさに博打そのもの。そんな人が麻雀の神様になったわけだ。

まもなく作った麻雀新選組だって全員が雀ゴロじゃん。桜井章一さんみたいな100%雀ゴロは入れず、明るい小島武夫さんとか理知的な古川凱章さんなど80%くらいの人にしたけど、それでも雀ゴロとしか言いようがなかった。

日本麻雀連盟とか日本麻雀連盟とか牌棋院にいる、商社勤務のサラリーマン雀士みたいな人たちに対して、阿佐田さんはノーと言ったんだよね。麻雀の本質はそんなもんじゃない。クリーンぶっても麻雀の本質には近づかないと。

どういう人がかっこいいかって時代によって変わる。阿佐田さん以前の時代は紳士がかっこよかったけど、阿佐田さん以降は雀ゴロがかっこよくなった。ハングリーに麻雀の腕だけでのし上がる。そんな夢を抱かせてくれたから、阿佐田さんの下に雀ゴロ志望の若者たちが集まり、後にプロ団体を作っていくんだわ。

別な見方をするなら、阿佐田さんはそれまでの階級社会から、庶民でものし上がり得る精神的な革命を起こしたと言うこともできるかもしれない。

というわけで、麻雀しかないチンピラが集まってグループを作りやっていこうぜというのがプロ団体の発祥なんだわ。

リーマンにプロは続けられない

老人って昔話ばっか詳しくて嫌になっちゃうよね。昔話をついつい書いちまうんだわ。もっと今の現実的な話をしよう。

麻雀プロを続けていくのって時間と金の面で大変だよ。普通にリーマンをやってる人だと、なかなか厳しいものがある。休日対局の協会、平日対局の最高位戦など、団体によって違いがあり、自分の仕事と合わせて選ぶことになる。プロ連盟の対局日がニコ生の配信の都合でいきなり平日になり、AⅠリーガーが仕事を休めないから辞めたこともあった。リーマンだと厳しい。都合をつけやすい自営が有利だ。

2~3年やるくらいなら休日を費やしてできるけど、それを10年以上続けるのってきつい。結婚して子どもができたりするとなお厳しい。麻雀プロ団体って長く続けないと上にいけねーんだわ。なんちゃらシードってのが山ほどあって、何年もかけてそういう権利を獲得していくのが麻雀プロ活動だから、10年くらいは準備期間なんだよな。リーマンをやってた人も、麻雀プロを続けてるうちに仕事を辞めて自営系になっちゃう人が多いね。そうじゃないと無理なんだわ。

そんなこんなで、普通の勤務者は麻雀プロをそうそう続けられるもんじゃない。その結果、麻雀プロを長く続けてる人って、①暇な自営系(二代目とか)、②フリー雀荘勤務者でアイデンティティはプロ活動のほうに置いてる人、この2つが主になった。

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