見出し画像

刑事事件と示談⑧ 争いのある事件(否認事件)

 本日も刑事事件と示談について書いていきます。
 今回は、事実関係に争いのある事件(否認事件)と示談について、ご説明します。

1 否認事件とは

 否認事件とは、容疑に争いのある事件です。
 具体例をいくつか挙げていきます。

①痴漢容疑の事件で、「犯人ではない」と主張する場合

②3回殴ったという暴行容疑に対し、「1回しか殴っていない」と主張する場合

③強制わいせつの事件で、「合意があった。無理やりではない。」と主張する場合

2 否認事件で示談をする場合

 基本的に示談は容疑を認めていることを前提とします。
 「認めて謝罪する」ことが前提だからです。
 一方で、否認事件で示談をし、不起訴などを目指すこともあります。
 否認事件で示談をするのであれば、いくつかの場合があります。
 大きく分けると、以下のものが考えられます。

①容疑を認めて、示談をする

②争いのある点を示談書で明示した上で、示談をする

 それぞれの場合について、注意点があります。

3 「容疑を認めて、示談をする」場合

 この場合、示談書で容疑を認めることになります。
 その上で不起訴となれば別ですが、起訴される可能性もあります。
 「示談ができれば、必ず不起訴になる」というものではありません。
 仮に起訴された場合、示談書で容疑を認めたことが不利となります。

4 「争いのある点を示談書で明示した上で、示談をする」場合

 この場合、そもそも示談成立を目指すことが困難です。
 被害者の方の心情として、「すべて認めて謝罪している」わけではない人と示談をしようとはなりがたいです。

5 否認事件は取調べの対応が重要

 否認事件で示談をすることもあります。
 しかし、前述のとおり、示談は容疑を認めている事件を前提としています。
 否認事件では、示談をするかだけでなく、取調べの対応(取調べの調書にサインをするかどうか、黙秘をするかなど)が特に重要です。
 慎重な対応が必要です。
 なお、取調べの対応については、後日別の記事でまとめる予定です。

6 示談に関する他の記事はこちらからお読みください

7 お気軽にお問い合わせください。

 ご不安な方はご連絡ください。
 弊所では初回の法律相談のみのご利用も可能です。
 お気軽にお問い合わせください。

 弁護士法人福地海斗法律事務所
 弁護士  福地 海斗 
 東京都中央区日本橋本町3丁目3番6号 ワカ末ビル7階
 電話:03-6202-7636