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【映像クリティカルリスニング】 #08 ~モダンプロジェCM「信じる者」篇 60秒~

第8回、今回はこちら

個人的にこの60秒CM、めっちゃくちゃ好きですね。
てか30秒見てたのかと勘違いするくらいにあっという間。
テンポもいいし、それでいて、などしっかり絶妙な面白いところを計算されてますよね。

まずこの企画、ここまでかっこよく、そして面白い
それだけでめちゃくちゃすごいなと思いました。
芸人さんを起用した広告、そしてかっこいいトーンの企画。
かっこいい「張り」の部分と、芸人さんの持つ「緩み」
このバランスが絶妙じゃないと成立しないものだと感じました。
カッコ良すぎると、芸人さんを活かせない。面白要素を増やしすぎると、かっこいいトーンが謎になる。というところで本当にすごく丁寧に作られてるものなのがわかります。

音に関して、全体を通して思ったのは、オフナレがメインに進んでいくこの映像ですが、ベースノイズやOffな同録の生かし加減が、とても考えられてるということです。
00:06の撮影スタジオに入っていくシーンでのOffな同録
これがあることによって、次のカットのOnな同録への入りがすごくスムーズで自然だと感じました。また、このONからベースノイズが入ってくるのもONとOFFのメリハリをしっかり作ってて臨場感がありますよね。
こういう感じで、メリハリを作りつつもストレスなく、テンポ良くスムーズに見せるのが、この映像は本当に上手いです。 

そして、上記の臨場感とも繋がるところですが、同録の処理がとても素敵です。
ベースノイズとか以前に、同録の持ってるライブ感、空気感がしっかり活かされた整音ですね。00:06の「ご明後日」とかめちゃくちゃいい反響感ありますよね。
00:18のお風呂のシーンなども、お風呂ながらの空気感、響きでとても臨場感ありますが、これが割とDryに整音してしまうと、オフナレと同録との緩急がなくなり、お笑い殺しになりかねません
00:44部分は、ブレイクの中、ギャグに対するリバーブ間。ブレイクで静まった空気感の中、このリバーブの残り方が本当に面白く、面白さにさらに拍車をかけてるところだと感じます。
つまり、残響の処理ひとつで、面白くするも面白くなくすることもできる、ということです。
このバランスが本当に絶妙だなと思いました。

「間」というところも本当に絶妙ですよね。
畳み掛けるオフナレの中で、「緩み」の箇所の「間」が、この映像を面白くしてるひとつだと思います。
特に00:16の「負けたく」から「ないやんやん」の間。
そこから少し食い気味に00:18のお風呂でのツッコミ、それ終わりの次のカットまでの間。
これだけでもうめちゃくちゃ面白いです・・・。

そして音楽。かっこいいですね〜。
同録の隙間や物語の展開をうまく考えらてる音楽でとても映像にマッチしてます。
特にシンセベースが、上記の「張り」の部分を煽ってくれるような感じで、アグレッシブなドラムと共に緊張感のようなものを感じさせます。
そして「緩み」の部分のブレイクの使い方がとても良く、ブレイクも、同録などとの絡みが絶妙なタイミングです。
また、音楽のレベルがかなり攻めてるのも個人的には好きでした。
こういう企画だからこそ、音楽はかなり大事なものになってくると思いますし、ブレイクもある楽曲で、最大限メリハリのあるものを作るためのミックスがされてると感じました。

全体的なミックスも、演者の発する声のレンジをうまく活かしたレンジで、コンプによる硬さもなく、先の空間作り、音作りもナチュラルなミックスでとても好きです。
芸人さんとかは声量にかなり幅があるので、コンプなど少し過度になりがちだと思いますが、うまく処理されてる作品だなと感じました。

構成から演出まで、本当にかっこいいですね〜。

今回もありがとうございました。
では、また明日〜。

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