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【授業】2024年度前期「中国文学特殊講義」

 新学期の「中国文学特殊講義」授業計画。
 受講者は大学2-4年生を想定。
 扱う範囲は、1919年の五四運動から現在に至るまでの中国現代文学、当代文学。中国本土の文学のみならず、香港や台湾など中国語圏の文学を紹介する。

各回の内容(予定)
第1回:ガイダンス
第2回:魯迅「阿Q正伝」―国民性再考
第3回:郁達夫「沈淪」―日本留学生の文学
第4回:張天翼『大林と小林』―児童文学
第5回:戦争と文学
第6回:人民文学
第7回:中国映画鑑賞
第8回:映画の解説
第9回:80年代中国の作品
第10回:香港映画鑑賞
第11回:香港文学
第12回:台湾文学
第13回:マレーシア華人文学
第14回:中国現代美術
第15回:まとめ

 授業では、中国語圏の多元性に焦点を当て、各地域の文学と文化の魅力や、重要なトピックに関する議論を伝えたい。
 第2-9回についてはテーマに沿って作品を選び、解説する。第10-13回では地域別に作品を選び、紹介する。ただし、授業で扱う作品は必ずしも全てがテーマや地域を代表する「経典」(カノン)ではない。それぞれのテーマや地域については、膨大な議論や先行研究の蓄積があるが、授業では1つの作品に焦点を絞り深く読むことを目指す。
 一つの土地は多面的な顔を持っており、授業の枠で紹介できるのはごく一面にすぎない。授業を通して伝えたいのは、ある作品の背後にはより広大なことばの世界が広がっているということだ。
 より深く知りたい学生のためには、地域別の通史や文学史について参考文献を提示しつつ、授業では概略を紹介する。
 授業では、オンラインで事前にテクスト(中国語原文と日本語訳)を配布し、授業で作家と作品の読みについて解説する。また、作品と授業の感想をグループで話し合い、自身の作品に対する読みを深め、他の受講生の意見を聞く。
 一つの地域やテーマに絞ることはあえてしない。世界は多様であり、学生の興味関心もまた多元的、多角的だ。中国語圏にも、同じ授業を受ける仲間にも、多様性があり自身のことばがある
 文学は読まれ解釈され批評されることによって文学になる。授業で扱った主題は自分でより深く調べることで骨肉になる。授業を通してより広い世界に足を踏み入れてみよう。

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