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Canon EOSの歴史と技術進化

世界中のプロカメラマンからアマチュアまで、幅広いユーザーを抱えるキヤノン。
19年連続で、レンズ交換式デジタルカメラの世界シェアNo.1を達成しました。

合わせて、キヤノンの今を支える「EOS SYSTEM」も、2022年3月で35周年を迎えました。

今回は、私もユーザーの一人であるキヤノンの進化の歴史、さらにはカメラ業界の“牽引者“としての今までとこれからについてお話します。

レンズ交換式デジタルカメラ、19年連続世界シェアNo.1達成

キヤノンは2003年以来、レンズ交換式デジタルカメラ(一眼レフ、ミラーレス)の世界シェアNo.1を継続しています。
その理由は、カメラ初心者から報道・スポーツなど一流のカメラマンまで幅広く、製品を世に送り出していることにあります。
2003年は、初心者向けモデル「EOS Kiss Digital」が発売された年です。(EOS Kiss自体はフィルム時代の1993年に発売)
はじめに言っておくと、初心者向けの機種を現在も発売しており、後述する「キヤノンフォトハウス」などの施設運営など、サポート体制が充実しているからこそがこの快挙だと思います。

キヤノン公式サイトより

長らくデジタル一眼レフを牽引してきたキヤノン。
フルサイズミラーレスこそ、最初はソニーに先を越されましたが、現在は「さすがキヤノン」。
ミラーレスへの移行だけでなく、一眼レフとの共存も考慮されている点を忘れてはいません。
また、デュアルフィッシュアイレンズを基本とした「EOS VR SYSTEM」の発表など、新技術へのチャレンジも忘れてはいません。
(一眼レフの将来とフルサイズミラーレスの件は、後日別記事にて)

1周年を迎えたキヤノンフォトハウス

東京の銀座・大阪の中之島にはキヤノンのショールーム「キヤノンフォトハウス」があります。
それまでは「キヤノンデジタルハウス」という名称でしたが、昨年1月に一時閉鎖され、同年4月にリニューアルオープンしました。
あれから1周年を迎えました。 

キヤノンフォトハウス大阪
中之島フェスティバルタワーウエスト1階
最寄りは京阪渡辺橋駅・大阪メトロ肥後橋駅

現在、キヤノンフォトハウスでは「フォトハウス1周年イベント」「EOSシステム35周年記念展示」を同時に開催中です。
先日行ってきましたので、軽く紹介したいと思います。

EOS SYSTEM35周年記念展示

EOSシステムは、2022年3月で誕生35周年を迎えました。
「EOS」とは「Electro Optical System」の略称であり、ギリシャ神話の「曙の女神」の名前でもあります(キヤノンWebサイトのニュースリリースより)。
世界初の完全電子マウント方式であるEOS SYSTEMは、それまでのFEマウントから設計が大幅変更となったことで、当初賛否両論があったのだとか。
しかし、今や完成されたシステムは、報道やスポーツなどの一流プロカメラマンからアマチュアまで、幅広いユーザー層に支えられています。

カメラ本体では、初心者向けの「EOS Kiss」シリーズから、プロ向けの「EOS-1D X」まで幅広く揃えられています。
またEFレンズも、単焦点や超望遠をはじめ、フィッシュアイレンズや超広角レンズ(EF11-24mm)、アオリレンズも揃えられています。

今回の展示は、1987年発表の初代「EOS650」から現在の「EOS R3」まで
新技術投入など歴史を変えた(エポックメイキングな)20機種を展示しています。

EOS一眼レフカメラのコーナー
初代「EOS650」から最新の「EOS-1D X Mark III」まで
代表的な20機種が展示されている

EOS一眼レフのうちの20機種が、一列にずらりと並んでいます。
初代650、EOS3、10D、5D Mark II、7D、C300(シネマEOS)、70D、EOS-1D X Mark IIIなど。

初代EOS650発売当初は「快速、快適オートフォーカス」というキャッチフレーズで、よくテレビCMが流れていました。
(当時小学生の筆者は、持っていなくとも覚えています)
このEOS650と同時に、交換レンズである「EFレンズ」3本も発売されました。

EOSはフィルムからデジタルへ
その移り変わりを象徴するこの2台
(左)フィルム式のEOS-1Vと、デジタルのEOS-1 DIGITAL

5D Mark IIはフルサイズ一眼レフの人気火付け役となり、現在も人気機種の一つです。
最新の「EOS R3」に搭載の「視線入力」も、すでにフィルム時代から導入されている技術でした。

EOS SYSTEMの始まり、つまり現在までの「EFレンズ」完成への道のり。
それがデジタル一眼レフの、「EOS第一章」という技術革新の物語でもあったのです。(ただし、今もEFレンズ愛用者は多いですので、もちろん終わりではないですよ)

時代は第二章「フルサイズミラーレス」へ

フルサイズミラーレス「EOS R SYSTEM」展示コーナー
(手前から)R3、R5、R6

ミラーレスモデルの「EOS R SYSTEM」は、デジタル一眼レフとは別のスペースにあります。
Rシステム初代の「EOS R」から「R3」まで、個別にガラスケース入りで展示されています。

フルサイズミラーレスは、2013年にソニーがいち早く発売したことから、一眼レフ中心のキヤノンにとっては焦りや危機感があったのかもしれません。
しかし、このような状況下でもEFレンズを成熟させ、厚いサポートも行いながら、並行してキヤノンが理想とするレンズ設計を実現させたともいえます。
2018年、フルサイズミラーレス市場への参入が始まり、初代「EOS R」とコンパクトな「EOS RP」が登場したわけです。(当初は色々叩かれていましたが)。

これが、EOSの「第二章」と言える物語の始まりです。

約4,500万画素CMOSセンサーとIBIS搭載の「EOS R5」

EOS R SYSTEMの開発スピードは凄まじく、2019年には一気に2機種「EOS R5」「EOS R6」が登場。フルサイズミラーレスにおけるシェア奪還の布石となりました。
EOS初のボディ内手ぶれ補正(IBIS)搭載、EFマウントにはなかった新しいレンズの登場などが象徴されます。

R5と同時発売された、コンパクトな「EOS R6」
装着レンズはEOSズームレンズ初の通しF2、RF28-70mm F2 L USM

中でも衝撃的だったのは、EOSズームレンズ初の通しF2「RF28-70mm F2 L USM」。
今まで「EF24-70mm F2.8 L USM」がありましたが、EFレンズでできなかったボケ味のズームレンズがようやく設計可能となったわけです。
(他メーカーにはないタイプです)

現時点での最上級機「EOS R3」

現時点での最新機種にして、EOS3以来の「視線入力」が復活した「EOS R3」。
フラッグシップモデルではないものの、2022年冬季オリンピックに間に合い、早速スポーツを始めとしたカメラマンの皆様に使用されています。

一眼レフにまつわる将来的な不安

すでに何度か紹介していますが、昨年12月下旬の御手洗冨士夫会長インタビュー(読売新聞ONLINE)において、フラッグシップ一眼レフの数年後の販売終了を視野に入れた発言がありました。(ミドルクラス以下は継続)

御手洗会長はインタビューの中で「ミラーレスへの移行が進んでいる」とあります。
しかし、それは一流のカメラマン(商業、スポーツ、報道など)が中心なのであって、地域で活動しているスタジオ所属やフリーランスの方々にとっては移行する余裕がありません。
これは、負け惜しみではありません。

どのカメラマンも関係なく、撮影料(ギャランティー)は上げ止まり、もしくは下がる一方。
それとは逆に、カメラ&レンズの価格が上がり続けています。
世界的な社会情勢の影響はあれど、その状況で機材が買えず、今後廃業する人が増えることも予想されます。

デジタル一眼レフを使っている方は、未だに多い。(私も一眼レフのみのユーザー)
御手洗会長には、一流の方だけ見て「移行が進んでいる」と思わないでいただきたい。
カメラに対する敷居を上げているだけではないのか、と。
ただ単に利益を出せばいいだけの企業ではないんです、カメラメーカーは。

まぁ、一眼レフの将来を断つ遠因は
「フルサイズミラーレスでなければ、カメラではない」
と大体的に宣伝しまくったソニーにあるのですが…

こんな状況だと、「スマホで十分」とみんな思いますよね。悲しさと怒りが交錯している気分です。
写真文化の発展のためにも、カメラ事業のあり方を再考していただきたいと思うのは私だけでしょうか?
カメラ業界の“牽引者”であるキヤノンには、どうか写真文化とカメラの発展のために引き続き頑張ってほしいと思うわけです。

キヤノンユーザーはぜひフォトハウスへ

キヤノンフォトハウスでは、カメラやレンズのお試しだけでなく、スタッフからの製品購入や使い方などのアドバイスも可能です。
また、館内にはPIXUSやSELPHYなど、プリンターも展示されています。

また、キヤノンギャラリーも併設されていて、写真家さんによる写真展も随時開催されています。

(投稿時点で)開催中の「EOS SYSTEM35周年記念展示」では、古くからのキヤノンユーザーだけでなく、最近カメラを始められた方も
フィルム時代からのカメラの歴史を楽しく知ることができる絶好のイベントです。
興味がある方は、ぜひ足を運んでみてください。

フォトハウス1周年イベントでは、
アンケートに答えると先着順でプレゼントがもらえます。

特別展示「EOS SYSTEM」誕生35周年
2022年4月5日(火)~2022年7月2日(土)
キヤノンフォトハウス銀座
キヤノンフォトハウス大阪

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