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「CP+」の存在意義を問う

毎年2月下旬にパシフィコ横浜で開催される、我々カメラ&写真好きにとって待ち遠しいイベント「CP+」
今年はオンラインで2月22日(日)から、リアル会場が2月27日(木)から開催の予定でした。
しかし、流行病の状況悪化(という理由)により、残念ながらオンラインのみでの開催になりました。
完全中止でないとはいえ、3年連続でリアル開催が中止となったこのイベント。果たして、業界としてもこれでいいのか?
この機会に、カメラ業界及びCP+をはじめとしたカメラ関連のイベントについて述べたいと思います。

CP+とは

毎年2月下旬にパシフィコ横浜で開催される、カメラと写真のワールドプレミアショー。
主催は「一般社団法人 カメラ映像機器工業会」(以下、CIPA)で、CP+の企画、カメラメーカーなどの出展企業の募集、イベントの取りまとめを行います。
開催規模はアジア最大級で、かつてはドイツの「フォトキナ」と並ぶほどの一大イベントです。
パシフィコ横浜をはじめ広いスペース内に、多数のブースがぎっしり並んでいます。
もちろん、1日だけでは物足りません。4日間ずっと回ってお腹いっぱいになるかならないかのボリュームかと思います。

各メーカーが出展することの意義

なんと言っても、CP+の最大の魅力は「各メーカーの新製品を試すことができること」。これに尽きると思います。
カメラ店でもお試しはできるのですが、CP+はそれどころではない。
実際にモデルさん(メーカー側で集めた方々)を被写体とするお試し撮影ができるのです。 → ここがポイント!
だから、お店と違って、ある程度時間をかけて見て触理、数々の製品の詳細をより深く知ることができます。
また、各メーカーの技術者の方もトークショーに出演することもあります。
開発エピソードやカメラ店ではできないような説明など、深く知ることができます。

CP+2019 キヤノンブースにて
(EOS Rシステム紹介の場面)
CP+2018 ニコンブース
CP+2018 ハクバ写真産業ブース
CP+2019 富士フイルムブース
トークショーでは、ユーザにはお馴染みの上野隆氏が登壇された
CP+2018 オリンパスブース
コラボで出展されたサクラスリングストラップ

一流カメラマンによるトークショーも

各カメラメーカー、用品メーカーでは製品発表だけでなく、愛用者である一流カメラマンがトークショーに出演されることがあります。
メーカーの技術者とは違い、実際に使った感想や撮影設定など、撮影側の視点から深く説明くださいます。メディアでも中々登場しないだけに、貴重なお話です。
これだけが目的の方も多数おられると思います。(もちろん私もです)

CP+2019 タムロンブース
ハービー・山口氏トークショー
CP+2018 EPSONブース
中井精也氏トークショー

「御苗場」写真コンテストも同時開催

このイベントでは、CP+と同時開催で「御苗場」というコンテストを兼ねた写真展も同時開催しています。
応募された方々、それぞれの作風で勝負し、世界進出も夢ではないことから
年々レベルが高くなってきてるように思います。
(いい意味でですよ!)

今年こそは、と思ったが…結局リアル開催中止に

2022年の開催は元々、リアルとオンライン並行の予定で、会場では厳重な感染防止対策を取る予定でした。(72時間以内の陰性証明、入場時間指定など)
しかし、感染者数が過去最多を更新し続けている状況の中で、急きょ会場での開催が中止となりました。

CP+2022公式サイトより

完全中止でないとはいえ、イベントそのものの存在意義を改めて問われる形になったのではないかと思います。
そうでなくても、各メーカーが新製品発売・開発発表をYouTubeライブで配信するケースが増えたことから、果たしてリアルで開催することに意味があるのか、と首を傾げてしまいます。
だんだんリアルの場で発表するという「感動」が薄れてきたのかも。

「CP+」及びカメラ業界の問題

かつてはドイツで開催されてきたカメラショー「フォトキナ」もありました。
しかし流行病の影響でメーカーの不参加が相次いだため、2020年を最後に休止となり、再開の予定すら無くなってしまいました。事実上の終了です。

CP+もそんな空気になっているのではないか、と気になっています。
私がいつも拝読しているカメラ&写真のサイト「Amaging Graph」運営兼カメラマンの山﨑正隆氏は、ブログで投稿されていました。(下記リンクよりご覧ください)

※あくまで私個人の感想です
大方、山崎氏のご主張には同感です。
「流行病が何なんだ」というような意見には少し危険な臭いはしましたが(結局はマスコミや医療界による恐怖の煽りでしかない)、結局CIPAの恐れ・意気込みのなさという点では納得する部分もあります。
スマートフォンに押されっぱなしのカメラ業界、このままでいいのか?!と言いたくなります。

ドイツのライカは別格として、カメラの技術力は日本が世界一だと思います。
それを誇りにしてこその日本のカメラ業界なのに…
昨年はオリンパスのカメラ事業が「OMデジタルソリューションズ」に分社化され、パナソニックもシェア一桁台と厳しい状況です。
ニコンですら国内生産を縮小するなど、かなり厳しい状況なのですから。

カメラ業界だけが問題なのか?

業界がこういう状況になったのは、CIPAだけが原因だとではないと思います。
元はというと、日本の政治(経済対策・技術の売込みなど)にも原因があります。
国内の半導体事業が縮小され、今や世界中で半導体不足に陥るほどにもなったのですから。

カメラは2度とない場面を収めるための“ツール“であるし、写真で人々を感動させたり、考えさせられたりする芸術的な要素もあります。
スマートフォンの普及で写真に対する考えが変わったかもですが、根本は変わらないと思います。
写真という文化を次の世代に伝えるためにも、カメラ業界全体・さらには日本全体で考えていかなければ持続しないと思います。

お読みいただき、ありがとうございました。
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