ダブルスロットの意味と役割
現代のデジタルカメラでは、撮影した画像データは
(1) 一旦「バッファ」と呼ばれる、カメラ本体の一時的な保存領域に格納されます。
(2) カメラ本体のバッファから順次、メモリーカードに記録されます。
今回は機種によりますが、メモリーカードの「ダブルスロット」について
自分なりの考え方を述べます。
ダブルスロットの有効な使い方(メリット)
ダブルスロット、すなわち2枚のメモリーカードを使って保存するには、色んな方法や組み合わせがあります。
2枚のメモリーカードに、同一形式のデータを同時書き込み(IT用語でいう「ミラーリング」)
※JPEG同士、RAW同士
→ 一方が書き込み不良でも、もう一方が正常であればOK、という保険的な設定2枚のメモリーカードに、異なる形式のデータを書き込み
(RAW+JPEG)
RAWは1枚当たりのデータが大きいため、書き込み途中でエラーが生じる可能性は否定できない。このため、データが軽いJPEGでバックアップする、という保険的な設定。
また、JPEGデータだけさっと他人に渡したいときなどにも有効1枚ずつ順次書き込みによる、撮影枚数の拡大
メモリーカードが一杯になっても取り換える手間が省ける
画像と動画の振り分け
撮影後の仕訳け・パソコンや外付けHDDなどへのバックアップ等の容易さ
などいろいろな使い方があります。
ダブルスロットは必要か?
過去にあるカメラマンさんと話したときに、
「ダブルスロットって必要なの?」
と聞かれたことがありました。
私は「うーん、いらないですかね?」と答えたのですが…
2018年8月付けとかなり前ですが、いつも拝読している「Amazing Graph」管理人の平原さんがこの記事を書いておられましたので紹介します。
平原さんの考えでは要約すれば
「シングルスロットでも仕事は成立する」
「ダブルスロットは便利だけど、必須とは言えない」
ということです。
また、西田航さんも5月4日の配信動画で「ダブルスロットについての有用性」を語っておられました。
カメラマンさんによっては、シングルスロット(1枚のみ)で十分という考えもあるようですね。
シングルスロットだと(若干の)軽量化や2枚にすることの手間が省けるでしょう。
また、1枚で十分使える、という考えも理解できます。
西田さんのように、ダブルスロットの処理内容がブラックボックスである、という点では疑問?に思われているかも、です。
私が元IT関係者(プログラマー)だったので、業務上で経験したことから言えることなんですが、
メモリーカードはあくまで”消耗品”です。
いくら大容量・高価であっても、です。
SDをはじめとして、メモリーカードは電気信号を当て込むことで読み書きしています。
このため、長期間、高い使用頻度によって劣化していくと読み書き速度が遅くなったり、最悪の場合は書き込まれなかったりする(エラー)場合があります。
つまりメモリーカード自体、使えば使うほど不具合や劣化が起こることも考えられます。
万が一ベストショットだと思っても「読み込みエラー」となれば復元はゼロに近いです。
学校関係の撮影でほかのスタッフさん(お世話になっている写真スタジオの方)と同行することがあるのですが、その方のカメラはRAW形式で2枚同時書き込みでした。
やはり、1枚だけだとメモリーカードエラーなどにより撮影データが消失する可能性があるので、「保険」の意味で保存設定されています。
どんな場面でも特に失敗が許されない撮影では「ダブルスロット」で「二枚同時書き込み」(ミラーリング)がより安心できるのではないか、
と思います。
もちろん、メモリカードや各機器のメンテナンスは必要ですし、盗難や紛失など物理的な管理に注意することも大事ですが…
撮影技術だけでなく、機器の管理や手入れも怠らずに業務をさせていただく所存です。
お読みいただき、ありがとうございました!
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