難病紹介 多発血管炎性肉芽腫症(指定難病44)


多発血管炎性肉芽腫症は以前はウェゲナー肉芽腫症と称されていた疾患で、1939年に鼻と肺の肉芽腫および全身の血管炎と壊死性半月体形成性糸球体腎炎を示した3症例がはじめて報告された。発熱、全身倦怠感、食欲不振などの炎症を思わせる症状と鼻、眼、耳、咽喉頭などの上気道および肺、腎の3つの臓器の炎症による症状が一度にあるいは次々に起こってくる。その原因は今のところわかっていないが、全身の血管の炎症による病気(血管炎)の一つで、免疫の異常が病気の成り立ちに重要な役割を果たしている。難病の申請をされている方は2,708人(平成28年度医療受給者証保持者数)であるが、申請をしていない方、医療機関に受診していない方を含めるとこれ以上の人がこの病気をもっていると推定されている。この病気は北ヨーロッパの白色人種の人に多いといわれているが、日本においては地域差などはみられていない。また、特別な環境が病気の発症に関係しているという証拠は見つかっていない。男女比は1:1で明らかな性差は認められていない。推定発症年齢は男性30~60歳代、女性は50~60歳代が多い。はっきりした原因は現在のところわかっていない。最近、この病気の患者の多くの方の血液中に抗好中球細胞質抗体(ANCA)という自己抗体を持っていることがわかってきた。多発血管炎性肉芽腫症の患者には、ANCAの中でもPR3-ANCAという自己抗体が見いだされ、病気の発症や進行に深く関わっていることが考えられている。すなわち、PR3-ANCAが、風邪などの上気道感染の後に炎症によって産生されたサイトカインとともに好中球を活性化し、各種の障害因子を放出し血管炎や肉芽腫を起こすと考えられている。上気道の感染をきっかけにこの病気が発病したり、細菌感染により病気が再発したりすることがあり、感染症が病気の誘因として注意する必要がある。欧米では特定の遺伝子(HLA抗原)をもつ人に発症しやすいとの報告があるが、わが国では特定の遺伝子(HLA抗原)との関連は見出されていない。ただ、この病気を含め自分自身の体の成分に対して免疫が起こる病気(自己免疫病)では、親族に同じ様な病気が多くみられる家系がある。しかし、それがはっきりした遺伝子によるものかどうかは正確にはわかっていない。

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引用:希少難病ネットつながる理事長 香取久之


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