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またきっといつかどこかで 8


「山さん、ふきこぼれやらん?」


それは、高校時代の同級生からのメールだった。

相田君
彼は芸大生になっていた。


ふきこぼれ

高校時代、JamFilmsをはじめとして
サブカル界隈でショートフィルムや小劇団が
流行っていた頃、
その空気感に憧れた僕達は、
「ユニットを組む」ということがしたくて
その時仲が良かった数名で何をする訳でもなく、ユニットを組むことにした。

結果、みんなで遊んだり、映画の撮り真似をしたぐらいで終わってしまったが。

そのユニットの名前が「ふきこぼれ」

名付け親は多分僕で。

当時通っていた高校は進学校で、
その中で頭が悪かった僕らは
「君たちはこの高校のガン細胞です」
と教師に言われるようなクラスにいた。

確か、

俺たちは落ちこぼれたんじゃない
才能がふきこぼれてるだけだ!

とかいう思春期全開の。

山さん上手いこと言った!

的な。

目も当てられない由来だったと思う。


「山さん、ふきこぼれやらん?」

「おお、相田、久しぶり。どういうこと?」

「いや、山さんと龍野と、なんか面白い事できんかなと思って」

「ざっくりしとるな」

「芸大通ってみて、なんか出来そうなことも色々あるし、機材とか画材とか持ってる友達もいるから」

「なるほど、とりあえず今度そっちの家行くわ」

「OKーわかった」


・・・・・


「おじゃましますー」

「久しぶりー」

「んで、何やんの?」

「いや、特に決めてないんやけど、高校の時の楽しかった感じをまたやりたいなと思って」

「龍野は?」

「いやー、あいつ高校卒業して、大学行かずに働いてるから、忙しいみたい」

「そっかー」

「ファッション系の子達も大学にいるし、フォトブックみたいなん作ったり、フリーペーパーとかポストカード作るとこから始めてみようかと」

「俺、芸術とかアートとかなんも知らんで?」

「いい、コンセプトとかはこっちで考えるし、
山さんは言葉や文章を考えてほしい」

「出来るか分からんけど、やるわ、でも龍野要るなー、あいつが1番、絵を描いたり器用に出来るもんな」

「そうそう、俺は作品のコンセプト決め、龍野が形にして、山さんがそれを言葉でみんなに届くようにする」

「なるほどなー、とりあえずは龍野の返事待ちかな、うん。面白そうだし、俺はやるよ」


──────

その当時のblog(原文)


やりたい事があった。

僕一人では無力だったので、

僕は月イチで湖を渡る事にした。

二人になった。

何もなかった鍋の中に、
具材が放り込まれる。

しかし、
二人では火を付ける事が出来なかった。

二人は龍を呼ぶことにする。

この鍋から

色々なものが吹きこぼれ、
何かが生まれることを期待している。


今見ると、
中二病全開で
こじつけだらけの下手くそな文章。

今でも僕の名前に

ずっと頭の片隅に居続ける

ふきこぼれの誕生である。

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