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またきっといつかどこかで 6

えー

あのー

「なになにやまもっちゃん」

「早く言えよ」


えーとですね


好きかもしれん


僕は仲のいい同回生2人と学食を食べていた。


「え、なに、誰?」

ランラン

「えー!やまもっちゃーん、恋してるねー!大学生!」

キミも大学生やろ

「そうなん?え、いけるか向こうに聞いてやろうか?」

いや、デリカシーっちゅうもんがないんか。
そもそも向こうは先輩と付き合ってるし。

「へーそっかーランランねー」

あの日からも、部活のイベントを除いて
ランランが談話室に来ることはなかった。

ランランと森下先輩の噂話は
嘘か本当か、
先輩がランランを邪険に扱っているという
尾ひれがついたような話になっていった。

そんな、勝手に人づたいに聞いたような
噂話に僕の心はざわつき
そのくらいには、僕はランランが好きなのだと自覚していく。

僕がランランとご飯を食べ
談話室に戻っておいでといった話も
多分森下先輩には伝わっていて、

森下先輩と仲の良い別の先輩に
ランランのこと好きなんだろ?森下がいるからお前には無理だよ、とか
聞きたくもない2人の性的な話を吹き込まれたりもした。
どうやらその先輩は度々森下先輩と飲みながら
「裏幹部会」と称し、一緒になって部の悪口を言っている様だった。

(いっつもお酒飲んで部の文句言ってる、子供なんよ、あの人)

そこにはきっとランランも同席させられている。

森下先輩とランランが実際どういう風に付き合ってるかは知らない。
でもそんな話を面白がって話す先輩達の横で
ランランはどんな顔をしているのだろう。

音楽が好きで、みんなと楽しくいられることが好きで、
天真爛漫で、いつも笑っていたランランが
どんな思いで、そこにいるのだろう。


ランラン取り戻してきてよ!


冗談の様に言われたこの言葉が、僕の中で大きくなっていく。


「今話せる?」


ある夜の帰り道、僕はランランに電話をかけた。

軽音楽部のこと
森下先輩のこと

心がざわつきながら、話していく。

ランランは、うん、うんと小さくうなずきながら僕の声を聞いてくれていた。


しまった、充電がない
勢いで電話をかけてしまった、
やばい、失敗した。


あの

ごめん、充電がない

えと

あの

「どうしたの?」

あのさ、

充電がないから、

一言だけ言わせて


悲しい思いはさせないから


「うん」


よかったら


僕のところに来ませんか?


あ、えと、あの────


「やまもっちゃん。ありがとね」

「少し、考えさせて」


・・・・


人生で初めての告白は

今考えると超ダサいな

ほぼ氣志團じゃん。



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