流行性感冒「スペイン風邪」大流行の記録を読んだ

流行性感冒「スペイン風邪」大流行の記録が無料公開されている(https://www.heibonsha.co.jp/book/b161831.html)ので読んだ感想

統計と事実を丹念に記述しているので、読んで面白いという本ではなく、
読者が面白い所を発見するべき本と思った。

気になった所として
・100年前の感染症対策は今の感染症対策とほぼ一緒
・継続的に3回の流行があった(大正7年~10年)


100年前の感染症の知識と対策は

流行性感冒予防心得
どうして伝染するか→咳やくしゃみの飛沫を吸い込んだ者は病にかかる

かからぬには
1.病人または病人らしい者、咳する者に近寄ってはならぬ

2.たくさん人の集まっているところに立ち入るな

3.人の集まっている場所、電車、汽車などの内では必ずマスクをかけ、それでなくば鼻、口を「ハンカチ」手ぬぐいなどで軽く覆いなさい

4.たびたびうがいをせよ

現代の感染症対策とほぼ一緒じゃないか。手洗いを励行してないくらいか


3回の流行の感染者数は

第1回 大正七年八月~八年七月 患者 約二千万人(21,168,398人) 死者 約25万人 患者百対死者 1.22
第2回 大正八年十月~九年七月 患者 約二百四十万人(2,412,097人) 死者 約12万人 患者百対死者 5.29
第3回 大正九年八月~十年七月 患者 約二十二万人(224,178人) 死者 約3698人 患者百対死者 1.65


段々患者数、死者数が減っているとはいえ流行は断続的に3年くらい続いている。
100年前と現代を比較すると、医療水準が劇的に向上しているので現代の死者は劇的に減少することが考えられる。
しかしながら、現代において流行が複数回発生することを否定する根拠は思いつかない。

なぜスペイン風邪が忘れられた存在だったか

ひとつはこのパンデミックがちょうど第一次世界大戦のときに起きていたということ。
もうひとつは当時の疾病事情。

戦争が起きていたので日本の人々の目も遠いヨーロッパの戦場に向けられていた。
また、流行性感冒以外の呼吸器系疾患で亡くなる人が毎年極めて多く、流行の年も通常の年の2倍に過ぎなかった。なのでインフルエンザによる死亡者数の増加も全体に埋没してあまり人々の印象には残らなかった。

スペイン風邪が収まった原因

これはこの本の中には書いてないけど気になって調べたこと

スペイン風邪によって人が死ななくなった理由は正確にはわからない。科学者たちは様々な学説を立てた。最も一般的なのは多くの宿主を殺し過ぎたというものだ
ジェニファー・ライト(2018) 世界史を変えた13の病 原書房 pp.226

要するにみんな免疫を持つまで流行り続けるってことなのか。


いまの不安に対して歴史に学ぶことはたくさんあると思ってます。事実を知ることでより正しい予想ができるかもしれません。
個人的には、1年くらいは現状が続くんじゃないかと思ってます。

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