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「再生可能エネルギーってどれくらい有効なの?」 〜気候変動 気になること答えます by 気候変動アクションガイド〜

FUKKO DESIGNの木村です。

「気候変動 気になること答えます by 気候変動アクションガイド」の第一弾です。

第一弾のQ(クエスチョン)


それぞれのパートごとに詳しく解説していきます。


そもそもの再生可能エネルギーとは

再生可能エネルギーのうち地熱発電は、地下のマグマの熱を活用して水などを沸騰させて発電する方法です。火山が多い日本では資源が豊富とされていますが、地下の掘削が必要になるため開発に時間がかかり、自然保護の観点から掘削が難しい地域もあるなどの課題が出ています。

参考)地熱発電について

産総研マガジン「地熱発電とは?」

バイオマス発電は、木材や家庭ゴミなどを燃料として発電するものから、家畜のふん尿からガスを取り出して燃やすものなど、さまざまな方法があります。しかし燃料の中には、海外で森林伐採などの環境破壊を伴ってつくられたものが輸入されたことがあり、持続可能な形での調達が求められています。

参考)バイオマス発電の問題について

NHK「クローズアップ現代 それ本当にエコですか?徹底検証!暮らしの中の環境効果」

水力発電は、ダムの建設を伴うような大型のものは、建設で周辺の環境に大きな影響を及ぼすほか、今後国内で新たに開発できる余地は多くありません。このため、用水路や水道管などに中小規模の水車を設置して発電する「中小規模の水力発電」に期待が集まっています。

参考)水力発電について

資源エネルギー庁「水力発電は安定供給性にすぐれた再生可能エネルギー」


発電量全体の最大2倍を供給できる

日本では再エネだけで現在の発電量全体の最大2倍を供給できると考えられていますが、そのエビデンスとして、環境省の「我が国の再生可能エネルギー導入ポテンシャル」(令和4年)のグラフをもとに解説しています。

グラフの左側、2020年度に日本国内全体で発電された電気の量は約1兆kWhです。このうち再生可能エネルギーによるものは、20%程度の約2000億kWhです。

環境省が、今後再生可能エネルギーを最大限導入した場合の発電量を推計した結果、2兆kWhを上回るような可能性が示されました(グラフの右側)。
この推計は、▼太陽光発電、▼風力発電、▼中小規模の水力発電、▼地熱発電の発電量の試算で成り立っていて、試算は全国の日照や風の強さなどの気象データのほか、住宅地図や地理情報などに基づいています。

さらに、発電事業を行った際の採算性も考慮し、電力量あたりの買い取り価格が高いケースと低いケースをそれぞれ想定しています。グラフは買い取り価格が高いケースの試算で、低いケースでは、2020年度の国内の発電電力量(約1兆kWh)とほぼ同量と試算されています。

試算を行った環境省は、「我が国には電力供給量の最大2倍の再エネポテンシャルが存在」としていて、今後技術開発などが進めば、さらに再エネ導入の可能性は広がります。

参考)再生可能エネルギーを最大限導入した場合の推計について

環境省「我が国の再生可能エネルギー導入ポテンシャル」(令和4年)


今後有望と考えられている方法

今後有効と考えられている再生可能エネルギーとして、洋上風力発電、ペロブスカイト型太陽光発電も紹介しています。

洋上風力発電には、大きく分けて「着床式」と「浮体式」があります。
「着床式」は風車の支柱が海底に据え付けられているもので、「浮体式」は風車の土台自体が海に浮いた状態で、ケーブルなどで海底につなぎ止められます。

現在は「着床式」が普及していますが、日本の近海は遠浅のところが少なく、急に深くなるところが多いため、設置できる海域が限られることが課題となっています。

一方で「浮体式」は、ある程度水深がある海域でも設置できるため、比較的高いとされるコストが安くなれば、再エネを大量に導入できる切り札になると期待されています。

参考)洋上風力発電について

産総研マガジン「洋上風力発電とは?~なぜ今注目されるのか~」


太陽光発電の「ペロブスカイト型」は軽く、曲げることもできる次世代の技術です。従来の太陽光パネルは重く、曲げることができないため、ある程度の重さに耐えられて土台を据え付けられるところにしか設置できません。

「ペロブスカイト型」が普及すれば、建物の壁や重さに制限のある屋根、自動車の屋根など、設置できる場所が一気に広がることが期待されています。国内では2025年に実用化、2030年に商用化を目指して開発が進められています。一方、海外ではすでに、少量ですが商用化を始めているメーカーもあります。

参考)ペロブスカイト型をすでに商用化(少量から)している企業「Saule Technologies(ポーランド)」

日欧産業協力センター

先に説明した再生可能エネルギーを最大限導入した場合の発電量の推計には、洋上風力発電は「着床式」「浮体式」ともに含まれていますが、「ペロブスカイト型」の太陽光発電は含まれていません。「ペロブスカイト型」が普及すれば、太陽光発電はさらに広がる可能性があります。


「きこうみがめ」からの一言

日本でも再生可能エネルギーを導入できる余地は大きく、技術が進歩すればより可能性は広がっていきます。これまで日本は多くの化石燃料を輸入して電力をつくりだしていましたが、再生可能エネルギーが増えることで、輸入の必要はなくなっていきます。そして、再生可能エネルギーの普及は、世界各地で異常気象を引き起こしている気候変動を抑える上で欠かせません。


「気候変動アクションガイド」は以上です。

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〜データ〜

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出典:気候変動アクションガイド

※一部、行政機関や研究期間の情報などを転用しているため、データの改変などはご遠慮ください。

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FUKKO DESIGN 木村充慶

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