誰かの日常は、誰かの非日常であり

パークサイドギャラリーでの展示を終えて

パークサイドギャラリーでの個展「何をみても何かを思い出す　展」は無事終わった。
たくさんの方々が見に行ってくださり嬉しかった。

ありがとうございました。
ここに備忘録のために準備の苦労を書いておこう。それは、そのままこの2021年の振り返りにもなるだろう。

今回の展示は、2021年に撮影した写真を60点ほど展示した。
と、決めたのは8月も入って半ばすぎだった。それには理由がある。

話を1月まで遡る。

2021年1月

昨年から続く仕事の消滅具合（激減なんてレベルではない）は、ほんの少しだけ回復していた。
依然として空いた時間が多くて頭を抱えていた。

そんな中年始から七五三の撮影を頂き、慎重に鹿児島へ向かった。
世の中の疑心暗鬼と情報操作のせいで。
こんな状況下でも覚悟を決めて撮影を依頼してくださることに心底感動し感謝した。

せっかく鹿児島まで来たからゆっくりしようかと考えたが、ありがたいことに撮影依頼が急遽飛び込んでトンボ帰りで新年の書初めの撮影へ向かった。鹿児島の端っこからぶっ飛ばすこと４時間弱、無事書初めを撮り終えた。

写真自粛

思えば、このむちゃくちゃ具合は今年を体現したなぁと思う。

2021年2月

毎年なんだかんだアレアコーヒーで展示させてもらっていたが、2020年は世の情勢に飲み込まれて開催を断念した。今年こそは、と思いアレアでの個展を開催させてもらった。

同時期に後輩のpokkeがグループ展「blue」をやるとのことで参加した。

また、トヨタカローラ福岡からの依頼で新設の立体駐車場の壁面に写真を展示した。
B0サイズを初めてプリントしたが、とても大きくて見応えがあった。

この時期から、仕事が少しづつ増え始めた。とはいえ、まだまだ時間は余っていた。

2021年3月

アレアでの個展を終えて、間髪入れずに津屋崎でのグループ展「津屋崎アンタッチャブル」に参加した。

超個性的な参加者、作品、そして展示場所の「旅館玉乃井」の佇まい。全てがインパクトのあるものばかりで気を引き締めた。
二日間の展示で、かつ津屋崎という福岡市からかなり外れた場所ながらも多数の方が見に来てくれた。

あとは、例年より早い桜の開花に合わせて毎夜撮影していた。
仕事が暇なおかげだった。

仕事が戻り徐々に忙しさが増していた。

2021年4月、5月

展示だらけの日々が落ち着き、次の展示打ち合わせが始まった。確定申告に追われ前半は頭がどうにかなるかと思ったが、なんとか期日に間に合い安堵したのを覚えている。（4月前半）
あとは、とにかく撮影だらけだった。

プリーツスカートのコラボの準備を本格化したのはこの頃から。
気づいたら4月も5月も終わっていた。

仕事が完全に戻り忙しかった。

2021年6月、7月

何をトチ狂ったか、展示が４つ重なった。
ことの経緯を話す。
まず、KINKYBOXでの写真展の話があった。次にエルドラドでの写真展の話があった。
この二つだけだった。
まさか時期が被るとは思わなかった。かぶってしまったものは仕方ないと思い、準備していた。

ドラドの写真展は、サナトリウムでやろうと提案があった。その条件として、チェンチェンちゃんが被写体として写っていることが条件だった。というわけで、新たに撮影をした。

撮影後、思いのほか撮れ高があったので勢いでサナトリウムでの展示とエルドラドでの展示に分けた。大変なことは承知だったが、それの方が自然なことだと思ったからだ。
この時点で３つになった。

KINKYBOX
エルドラド
サナトリウム

頭の中はパンクしていた。まともな精神状態ではなかった。依然として仕事の依頼は来ていた。なんなら増えていた。撮影して編集して、納品して、空いた時間に展示の準備をして・・・どう考えても時間が足りなかった。

Pokke主催のグループ展「Blue」がパークサイドギャラリーでやると聞いた私は、軽い気持ちで参加したい旨を言っていた。まさか時期が被るなんて当時は思っていなかった。
なんとなく「にがいわな」名義で出展した。意味はない。

そして、とうと４つの展示となった。

KINKYBOX
エルドラド
サナトリウム
Blue展

7/6展示の真っ只中、ぎっくり腰を味わった。疲労のピークだった。整骨院に通う日々が始まった。
人体は、最大最重要の機材だと身に染みた瞬間だった。

４つ全ての展示が終わったのが7/13だった。
安堵したのも束の間、すぐ次の大きな展示が顔を覗かせていた。

THOMAS MAGPIE（トーマスマグパイ）とのコラボで私の写真コラージュがプリーツスカートになっていた。そのバイヤー向けの展示会の傍らで写真展をした。

私の写真がスカートの柄になって、それをバイヤーさんが見て買い付けていた。
11月には全国のセレクトショップに並ぶと思うと胸熱だった。

写真展には、たくさんの方が見に来てくれた。懐かしい顔もあり嬉しかった。

連日の撮影は依然として続く中、カメラが壊れた。ストロボも壊れた。車の調子も悪くなった。
それぞれが限界を迎えていた。カメラとストロボは同じものを再購入し、車は修理してもらった。流石にトランクが開かないのは洒落にならなかった。

2021年8月

展示こそなかったが、とにかく毎日撮影だらけだった。撮影、編集、納品・・・これを日々繰り返していた。趣味も仕事も写真を撮ることなので、気づいたらあっという間に8月も半ばだった。

パークサイドギャラリーの展示・・・どうしよう
ふと展示のことを思い出した。いや、頭の片隅にはあったのだ。忙しすぎて取り掛かれなかった。
いよいよ２週間後に迫ってきて慌てて準備を開始した。

snsで進捗状況を書いていたが、嘘偽りなく0％が続く毎日だった。
とにかくまずは仕事の撮影と納品を優先して、空いた時間で少しづつ準備をした。

頭の中だけでは考えがまとまらないので、展示準備として初めてノートを購入して紙に書き連ねた。やっと頭の混乱が治まった。そこからはスムーズに準備ができた。残り１週間を切っていた。

幸いにも、写真のネタには事欠かないので締め切りを逆算してセレクトできるテーマを考えた。
そこで「2021年に撮影したもの」となった。

というわけで、これらの写真が選ばれた。

普段からインスタで投稿しているので、セレクトは容易かった。展示１週間前で0%から３０％、５０％、９０％、１００％とあっという間に準備は完了した。

個人的に「額装して展示する」が裏テーマだった。結構な値段になるため躊躇したが、腹を決めて購入した。
死ぬほど金欠になってしまったが悔いはない。

その甲斐あって、今回の展示はとても反響が良かったと思う。
本当にありがとうございました。

おそらく2021年内は展示をすることはないと思う。このパークサイドギャラリーという展示場所は、たくさんの方に見てもらえる反面照明設備などひどいので、いつか明るくちゃんとしたギャラリーで展示したいなと思っている。

どこかないでしょうか。ご存知の方いたら教えてください。

あと、フォトブックの制作は止まっています。いっそのこと2021年全部が終わってから作ろうかと考え直しています。

■思いついた言葉を足して

最後にこの展示中に思いついた言葉を自身のプロフィールに付け足す。

魂の赴くままに写真を撮る。撮りたいものを撮り続ける。

それは、
誰かの日常であり、誰かの非日常である
それは
誰かの思い出であり、誰かのアートである。

そんな写真を撮り続けたい。

そして、晩年に何をみても何かを思い出す
多分それで一生が終わる。

人はいつか死ぬ、私もいつか死ぬ、あたなもいつか死ぬ
そして、写真が残る。その写真もいずれ朽ちる

何をみても何かを思い出すし、
何をみても何かを思い出していたい