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カンヌ映画祭で話題「怪物」

カンヌ映画祭で話題の「怪物」を観てきました。
是枝監督作品、音楽は坂本龍一さんです。

いったい、何が怪物(モンスター)なのか?
私は、「もう一人の自分」ではないかと思いました。

怪物が暴走する

誰しも自分の中に、手ごわい怪物が住んでいます。

本来の自分ではないと感じるものがある。
良いと思う自分が、もう一人の「怪物」と戦っている。
もう一人の自分も、自分自身なので、混乱する。
どちらが本当の自分なのか?

怪物を暴走させてしまい、自分が嫌になる。
怪物に振り回されて、狂いそうになる。
映画の前半は、重たい雰囲気です。

しかし、徐々に謎が解けてきます。
そして、厚い雲が晴れて、光が見えてくる感じで終わります。
伏線が多かったので、もう1度観たいと思いました。

怪物がいない

実は、登場人物の中に一人だけ、「怪物」を抱えていない子がいます。
一番かわいそうな役なのですが、なぜか一番明るいのです。

「これって、なんだろうな。」
「自分は辛いはずなのに、まったく抵抗していない。」
「されるままを受け入れている。」
「ネガティブ感情が1ミリもない。」

困難や試練からも回復でき、自分の軸がぶれていない。
確かに、これもレジリエンスですが、何か違っています。

どこか不自然で「なんだこの子は」と思ってしまいます。
この子が、映画で描きたかった怪物なのか?
頭の中で「?」が渦をまいて、考えるのを止めました。

怪物を追い払ったもの

映画を見た夜、ベッドに入って寝ようとしていた時、ハタと気づきました。
もう一人の自分を退治できるのは「愛」ではないか。
映画は、それを描いている。
怪物を抱えていない子は、慈愛にあふれています。

誰かを大切に思う気持ち、何をされてもそれを許す気持ちは「愛」。
その子は「怪物」ではなく、「愛」を持っています。
相手を信じる気持ち、
相手が変わってくれるという希望が感じられます。

映画の後半は、他の人も、流されてしまった弱い自分に気づいて、
これではだめだと、自分をとり戻していく。
怪物を追い払って、本来の自分に変わろうとします。

強い自分に回復できるのもレジリエンスです。

ネタばれになるので、映画の話はこの辺で。
観られた方は、感想を送ってくださいね。
きっと、違う見方もあると思います。

自分をとり戻す

自分の感情への対処に、手を焼くことがあります。
感情とは厄介なものです。

必要以上に落ち込んだり、
怒りに任せて言いすぎて後悔したり、
理性より感情が暴走してしまうと、ストレスになります。

「今日は運動をさぼれば?」「食べても大丈夫だよ」と、
もう一人の自分がささやいて、ダイエットができない。
決めたことができない、嫌な自分がいます。

これは自分ではないと思っても、紛れもなく自分です。
うまく、自分の中のモンスターを手なづけなくてはいけません。

感情はもう一人の自分かもしれません。
うまく対話して、暴走させないようにしたいものです。

「これが、なりたい状態か」と、振り返ることも必要です。

アクセルとブレーキのバランスをとる

ポジティブ思考が必要だともてはやされていますが、
「リスクはないのか」と、ネガティブ思考も同時に必要です。

ポジティブ思考だけでは、ブレーキのない車と同じ。
そんな車はとても危険で運転できません。
モンスターに運転させているようなものです。

ポジティブ思考とネガティブ思考の比較

良い行動は継続し、誤ったことは抑止する。
両方の思考が使えるようにしたいものです。

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