豚工場の朝は早い
豚工場の朝は早い。未明に大手牛丼チェーンから細切れ肉のパックを満載したトラックがやって来る。続いてゼラチン工場からは皮が、肥料工場からは豚骨と豚クズ粉末が来る。
製造ラインに投下された細切れ肉はプリンター施設を通りブロック肉となり、熟練の職人の手により骨と皮に貼り付けられる。出来上がった豚ブロックは別の職人により更に大きな部位へと組み立てられる。
顔と内臓の製造工程は芸術だ。圧力釜から取り出された皮を整形し1枚のマスクにする。豚粉末を焼却炉と蒸溜装置にかけて血液と血管を取り出す。内臓を真空パックから取り出して血管、神経と接合し整える。細かな筋ひとつ手を抜くことはない。
吊り下げ型コンベアによる効率的な作業。豚の形になったらバーナーで炙り毛を生やし、次亜塩素酸水にくぐらせ、喉を丸鋸で縫合し、断末魔を聞かせて完成する。元気な豚が順次牧場に出荷されていく。
食肉畜産製造株式会社豚部門の日常風景である。
【続く】
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