平成終末論

 平成31年4月29日の祝日、47のテロ事件が全国で連続して発生した。うち44件は明らかに、各地の過去の凶悪事件をモチーフとしていた。残る2件では大型テーマパークが、最後の1件では国会議事堂が標的にされた。更に次の24時間で、小規模な爆発事件も含め、東京都内で42の事件が発生した。

 犯行声明は無く、実行犯の意図は不明のまま、日本政府はこれを「国家を転覆させんとする試みである」とし、緊急事態宣言を発令した。無辜の人々が次々と逮捕されたが、実行犯は1人として割れなかった。通説によると、その後3年の間に見られた事件は、すべて模倣犯であり、大規模テロ犯とは無関係である。それよりも自警団の暴走、差別による集団リンチ、デマに端を発した暴動等により、4.29事件の4倍にのぼる人々が亡くなった。

 私は当時17歳の高校生であり、あの29日、秋葉原を散策していた。今でも鮮明に覚えている。トラックが次々と人を撥ねるさまを。

【続く】

#逆噴射プラクティス #逆噴射小説大賞

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