メキシコの道標

 スティーブン・キングの『小説作法』、ガルシア=マルケス『物語の作り方』、バルガス=リョサ『若い小説家に宛てた手紙』。ナボコフやボルヘス、カルヴィーノ、エーコの文学講義。シド・フィールドや新井一の脚本術、筒井康隆の『創作の極意と掟』。

 俺はメキシコのリュウゼツラン農園で働きながら、何かを目指していた。下戸だったからテキーラは一滴も飲めなかったがね。

 デイヴィッド・ロッジ、ミラン・クンデラ、ウラジーミル・プロップ、ヘンリー・ジェイムズ、ジュラール・ジュネット。ジュラルド・プリンス、ツヴェタン・トドロフ、バフチン。ほか、世界中の大作家のエッセイ。

 読んで俺は何か成長したか、いや頭の中には何にも残ってねぇ。まるでタンブルウィードさ。若い頃は何をしたかったんだろうな。忘れた。今じゃ、ウチワサボテンについたコチニールを集め、砂漠にみかんを植える、平々凡々な毎日さ。

 そんな時だ、逆噴射って名前を聞いたのは。

【続く】

#逆噴射プラクティス #逆噴射小説大賞

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?