脳機能エンハンスメントに関する重大な副作用の報告

「彼女らは前頭葉全体に神経幹細胞を注入された」エージェントは言った。

「姉が戦略、妹が作戦レベルの計画を立案している。第6世代被験者だ」
 姉妹はチェスに夢中になっている。

「女性の方は小脳が中心。俗に言う運動神経を大幅に強化。5世代。男性の方は頭頂葉、後頭葉に半々。空間把握と視覚情報処理。4世代」
 二人は遊戯室の端で腕相撲をしていた。

「彼は扁桃体と海馬。感情抑制と記憶能力向上。現場で不測の事態に頼れる。3世代」彼は奥のソファで本を読んでいる。

「彼は大脳皮質の全体の強化を試みた最新の第7世代。専用の施設にてIT面を担当」エージェントは天井の監視カメラを指して言った。カメラがぐるぐると動いた。

「もう少し詳しく説明したいが、理解するには勉強してもらう必要がある。例えばシャンデリア細胞が何か分かるか?」少年は首を振った。

「神経科学の教科書を手配する。18歳になれば脳の可塑性が落ちる。早く決めろ、8世代候補君」

【続く】

#逆噴射プラクティス #逆噴射小説大賞

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?