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花留多唄【ろ】ロウバイ

 私が住む地域では1月下旬にあちこちで目にする花です。中国原産で、その名の通り蝋細工のような艶を持つ梅に似た姿。

 初めてこの花を知ったのは群馬県に移住した頃でした。道端の垣根に不思議な艶を持つ黄色い花をみつけ、最初はボケの花かと思ったんです。

「こんな色のボケもあるのかね?」

 そう夫にたずねたところ、「あれはロウバイだよ」と呆れられました。

 なんだか、その花の丸みを帯びた形からでしょうか、不思議なことに静かに笑って通る人を見守るおばあさんのよう。花言葉も優しいものが多く、『優しい心』『愛情』『慈しみ』『ゆかしさ』『慈愛』『先導』などいかにもおばあさんっぽい。

 それはこの花を見ると何故かほっとするからかもしれません。北海道とは違い、雪がない冬ですが、それでも冷えるものは冷える。そんな中、路傍に咲く花に「あぁ、春までもう少し頑張ろう」と励まされた気になります。

 なんでも香りもいいそうですね。今度目の前を通り過ぎることがあったら、失敬して鼻をくんかくんかさせてきたいと思います。

文字札:路傍の老婆

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