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【正社員をクビに】仕事、人間関係が辛かった零細企業編(2)【ノンフィクションドキュメンタリー】

○前書き
起業を機にいままでの自分の人生を振り返ってみようと思って、経験してきた伝記的なものを作ろうと思いました。起業に至るまでの五年間奮闘した完全な自己満足のノンフィクションドキュメンタリーです。無職からの這い上がりの過程を誰かの希望になれば。

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◇登場人物
バイトAさん:同じ専門学校出身で僕より数ヶ月後に入ってきた。会社では唯一対等に話せていたため、バイトAさんのおかげでメンタルが保てていた。しかし半年で会社を離れ、僕より遥か高みへのステップアップを果たす。

上司Aさん:最初の上司、上司の期間は入社一年目の期間(その後見放される)会社立ち上げ時の唯一の会社の技術者だった。
あまり話す人ではなく、多忙でもあり積極的な教育はしてもらえなかった。

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前回の続きです。

バイトのAさんは半年ほどの期間しかいませんでしたが、(バイトのAさんも僕と同様退職を促されたと思います。)バイトのAさんがいた頃が一番、人間関係を穏やかに過ごせた時期だったと思います。

バイトAさん「よろしくおねがいします。バイトAです。」
僕「同時期に学校卒業しましたよね。クラスは違いましたが、同じクラスだった友人からバイトAさんの話は聞いてますよ」
バイトAさん「お恥ずかしいです」

いい意味で隙があるバイトのAさんは年が近いこともあってすぐに打ち解けました。帰りが遅くなった時、よく終電に乗り遅れまいと駅まで一緒に走って帰ったりしてました。

ちなみに事務所は移動して、東京のにぎやかな駅からやや離れた駅に引っ越ししており、実家から片道二時間かかる距離に。

会社の出勤にかかる時間は後々精神的に負担になっていきますが、
このころはバイトのAさんもいてくれたおかげで、なんとかメンタルを保っていけていました。

バイトのAさんはこの会社のアルバイトだけでは不安だったらしく、すでにやっていたマクドナルドのバイトも並行してやっていました。平日はフルで会社、そして休日マクドナルド。すごく大変だった思います。

そしてマクドナルドの店員だったのもあって、上司たちからよくいじられていました。

社長「(ポテトの上がる効果音を突然鳴らす)」
バイトAさん「うあああ!ポテトの上がる音じゃないですか~!」(社長のパソコンに向かってドタドタ走る)
社員全員が笑う

バイトのAさんはリアクションも大きく、独特な話し方とちょっとおとぼけた性格だったので、本人が不快にならない程度にいじられ、場の雰囲気が和んでいました。

そうして、バイトのAさんは僕よりはるかにいじられキャラとして会社になじんでいきます。

このころは会社の人数が少なかった分、こういったおちゃらけた事も
度々やっていました。まだ会社の雰囲気は明るかったと思います。

仕事は同じ仕事を、僕とバイトのAさんに作らせるといった事が多かったです(どちらも未熟で信用がないため)しかし、僕はなぜか期待の新人として期待されていました。

しかし、少し複雑な事になってくるとミスや時間がかかるようになっていて、少しずつ上司からの信用が下がっていきます。
(入社最初に任された単純作業を的確に早くこなせていたため、期待感が募ったと思います)

上司や社長からの期待感にたいして(思い込みかもしれませんが)、プレッシャーが感じやすい僕は、どんどん期待に応えようと気を張っていきます。

そして、子持ちだった上司Aさんは僕たちがいつも終電ぎりぎりまで仕事を粘るため、それに付き合わされる上司Aさんは次第に不機嫌になっていきます。

~夜10時前~
上司A「......ちょっとここが変だし、こう修正して。」
僕「(無言の圧力が怖い。気軽に聞ける雰囲気じゃなかったので、報告が完成後にするのが多くなった)」

バイトAさん「上司Aさ~ん。できましたので見てください!....ダメですか。直してきます!」
上司Aさん「もう夜遅いから早く修正してくださいよ?(いらいらして威圧的)」
バイトAさん「すみません。早めに出します!」

僕「(バイトAさんは物怖じしないのはすごい。)」
バイトのAさんは人の醸し出すイライラする空気を感じないのか、物怖じせず報告しにいっていたのがすごかったです。



この時の上司Aさんは僕たちの面倒と仕事が大変だったのか、それ以降、積極的に仕事のプロジェクトにかかわらなくなります。(人づてにもう僕とは仕事で関わりたくないような事を聞きました)

バイトAさんが会社を離れる頃には、上司Aさんは既に僕と距離を取りたかったようで、僕が会社をクビになる直前に行った忘年会では、完全に僕は上司Aさんに嫌われていました。(同じ席で僕との会話を拒絶。話しかけたら嫌そうな顔をされた)

話を戻すと、上司Aさんはその後ただ自分のパソコンをいじるだけの、何の仕事しているのかわからない人でした。
会社立ち上げメンバーで取締役だった上司Aさんは、ヒエラルキーのトップにいるので誰も突っ込めず。

結果的にクビになった僕がいうのもなんですが、仕事をしているかわからない上層部は社員のモチベーションを削るので、社員と部屋を分けるか、仕事に参加をするか、何かしらのアクションをしたほうがいいと思います。



このバイトAさんと競争をする仕事は、約半年間続きました。
下請けの下請けの...何次受けかわからないような、あんまり積極的にやりたいような仕事ではなかったので、充実感や達成感を感じることはありませんでしたが、バイトAさんとのやり取りがあったので、なんとかメンタルを削ることなく続けることができました。

僕「今日はちょっと余裕ありますね、どうでしょう、たまには一緒に晩御飯食べませんか?」
バイトAさん「家で食事が用意されているので食べません。なんでわざわざ食べる必要があるんですか?」

バイトAさんは素でこんな感じでした。マイペースなバイトのAさんとの会話は結構面白くて癒しでした。
しかし、次第にバイトのAさんとの仕事が終わりを迎えていきます。

バイトAさん「僕はバイト採用なのに、ふかひれさんは正社員採用なんですね...」
僕「ただ時期が悪かっただけかも。僕は四月からの入社だからたまたま切りがよかっただけだと思いますよ」

バイトのAさんと仲が良かった分、時折、バイトのAさんは僕とのバイト、正社員の地位を比較して、愚痴を零していました。

最初のころは、軽く話を聞きなぐさめるぐらいで済んでいたのですが、
時間が経つごとにどんどんまどろっこしくなっていきます。

バイトAさん「僕はずっとバイトなのか。」
僕「....」

仕事の競争ではバイトAさんの方が勝率が高かったのに、なんで自分は社員になれないんだ。

おかしい。といった言葉では言わずとも、態度でそんな雰囲気を出してきました。最初のうちは耐えられました。しかし、次第にバイトAさんの態度は露骨に、許容の範囲を超えていきます。

バイトAさん「ふかひれさんはいいですよね。ぼくなんてもう25だし。グチグチ...」
僕「(またはじまってしまった)」
バイトAさん「なんでどうして。グチグチ...」

そして、ある事件をきっかけに、僕たちの友好関係は崩れ始めます。

バイトAさん「うあああ!んぬううあ.......。」
僕「ど、どうしたんですか!?」
バイトAさん「........。」
僕「明らかに様子がおかしい。」

僕「バイトAさんの様子がおかしいんですが、何か知っていますか?」
後に上司になる上司Cさん「バイトAさん、社長と上司Aさんに呼ばれてましたよね。」

上司Cさん「あれ、もううちの会社では雇えない。これからどうする?って内容だったみたいです」
僕「そんな、じゃあもうバイトAさんは...」
上司Cさん「会社を辞めることになると思う。」

その事件以降、バイトAさんは僕を敵対視するような態度を取り始めます。

バイトAさん「この仕事おかしいですよね?」
僕「え???おろおろ」

バイトAさん「会社として普通仕様書とかスケジュールとか出すのが当たり前じゃないですか」

バイトAさん「だけどこの会社上司Aさんがコントロールしてるだけで、ただ上司Aさん経由で指示されるだけ。僕らに何も説明なしでやれって言われて、間違えたら怒られる。理不尽ですよ。」

バイトAさん「会社としておかしいですよ!どうなっているんですか?仕様書はどこにあるんですか?」

僕「」

唐突に僕に対して会社の不満をぶつけるようになってきました。
こういうやり取りを続けていると、僕もさすがに許容できなくなり、表情が強張っていきます。するとバイトAさんは。

バイトAさん「あ、怒っているんですか?すみません。」

とあっけらかんとしているので、仕事もやらないといけない僕は頭が混乱している中、上司Cさんと最近入ってきた上司Eさんが間に入ってフォローしてくれました。

上司C,Eさん「この業界で仕様書がないのは結構普通にある。仕様書がしっかりしているのは上の会社とか...」
そんな感じの事を説明してくれて、バイトAさんの暴走を止めてくれました。しかし、バイトAさんの怒りはどこにぶつけていいのかわからず。

バイトAさん「なんで僕だけバイトなんだー!うあうあうー!」

すこしだけ暴走したのち、なんとか収まりましたが。
ただ、いつもバイトAさんの行動や発言があるとみんな雰囲気が明るくなるのですが、この時ばかりはみんな真顔で真剣にバイトAさんに接していました。



しかし、実はバイトのAさんがアルバイトでの採用に至ったのは、
僕が原因かもしれません。

バイトAさんが入る一か月前ほどに、社長から同じ学校出身である僕に対して、バイトAさんを採用しようと思っているが、どう思うかと相談を持ち掛けられたことがありました。

僕はバイトAさんと学校で話したことはなかったのですが、友人伝いにキャラクターが面白い人と聞いており、そして授業の提出物を出す際に、ちょっとおかしなミスをしたという情報があったので、ふとネガティブキャンペーンをしてしまっていました。自覚はなくとも下に見ていたのかもしれません。

そのネガキャンが働いたのかはわかりませんが、バイトAさんは正社員ではなくアルバイトとして入社することに。

人を貶めてしまうといつか自分に返ってくる。
このあと僕は失いかけていた会社からの信用を、さらに落としていく一方。
バイトのAさんは運に恵まれ、僕よりはるか高みへあがっていきます。

その数日後、社長から人材派遣会社を紹介され、登録したバイトAさん。
バイトAさんと競争していた仕事はもう終わり、バイトAさんは会社に来るのはまばらになっていきました。

そして、久しぶりに会社にきたバイトAさんは、僕をなじった時とはすっかり様子が変わっていて、すっきりとした表情になっていました。その理由としては。

バイトAさん「人材派遣会社に登録したら、たまたま人材を欲しがっていた業界大手企業に声をかけられました」
バイトAさん「正社員です。福利厚生や給料をみてみましたが、凄かったです。この保養所ってなんですか?」

僕「保養所というのは企業が社員のために用意した宿とか、そんな施設の事です。すごいですね!保養所なんて大企業の特権だと思います」
バイトAさん「そんなんですね。ふふふ」

バイトAさんは僕との待遇を比較した感じに、乾いた笑いをうかべてすごく満足そうでした。僕はまさかの幸運に、一気にバイトAさんがうらやましくなりました。一気に立場が逆転した瞬間です。

そうした中、バイトAさんは企業がすぐに欲しがっていたので、その後僕の会社を離れていきました。そしてバイトAさん出勤最終日のこと。12月頃の寒空の日。

僕「バイトAさん、折角だし最後に会社近くにできたインドカレー屋にいきませんか?」
バイトAさん「そうですね。最後だからいいですよ。」

そして、バイトAさんと一緒においしいインドカレーを食べました。もうすっかり心は晴れて僕に八つ当たりする事もなく、たのしく過ごすことができました。その後、バイトAさんはガラケーしかもっていなかったので、メールアドレスを交換しました。

直接会って話したのが、この時最後。その後メールはこちらから送るも、帰ってくることはまばら。
そして忙しかったのか、着信拒否をしたのか、もうメールをしても帰ってくることはありませんでした。

いまでも大手企業で働いているかわかりませんが、バイトAさんは零細企業正社員の僕よりはるか高みにいき、見下していた僕を高みから見物しているかもしれません。(ひねくれた解釈ですが)バイトAさん元気にしてるかな...。

そして、バイトAさんは完全勝利の転職をして、僕の社会人一年目が終わりました。一年目は仕事的に辛いことはありましたが、まだ任せてもらえる分大分よかったです。

そして迎える二年目。後輩が入ることにより、僕の立場は奈落の底へ。僕は破滅の道へたどることになります。


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