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「海坂藩大全」下巻を読んだ。

 「海坂藩大全」を読み終えた。
 藤沢周平には長編、短篇合わせて250篇を越える作品がある。そのうち、長編が9篇。短篇が22篇。
 アンソロジーではやくも海坂物の短篇のうち21篇を読んでしまったことになる。
 小説なので、事件は起きる。飢饉、大手商人と藩上層部の結託、お家騒動といったあたりが多い。藤沢作品に出て来る主人公はたいていが剣の達人であり、貧乏というパターンだ。
 次男、三男は他家に婿入りして、跡を継がねばならない。逆に女子しかいない家では婿を迎えなければならない。このことが男女の機微を描くことにつながる。
 下巻で面白かったのは「泣くな、けい」という作品。けいは村から奉公に来た少女。この少女に主人の相良波十郎は手をつけてしまう。妻女は病気であっけなく亡くなってしまう。波十郎は御納戸奉行助役を務めているが、殿様にご覧に入れる予定の剣がなくなってしまっていることに気づく。調査の結果、剣はなくなった妻がひそかに愛人に手渡していたと判明する。この剣を取り返すためにけいが四苦八苦する。

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