親指シフト入力とは何か。

 親指シフトという日本語入力の方式がある。
 ワープロ専用機があった時代に富士通が開発した独自のキー配列である。独自といっても、物理的には現行のJISキーボードとあまり違わない。英数文字の入力は同じである。
 1音1打鍵という思想はJISかなと同じ。文字キーを3段に収めるという思想はローマ字入力と同じ。
 文字キーが足りないという矛盾は、1キーに複数の文字を割り付けることで解決している。親指キーという独立した2つのキーがあり、これと同時に押すか押さないかで文字数は2倍に増える。GとHを境にして、全体を左右に分けることにより、どちらの親指キーと同時に打鍵するかで最大4文字まで増やすことができる。
 親指シフト、どのくらい早く打てるのか。1音1打鍵だからローマ字入力の2倍を期待するが、実際には1.3倍くらいの体感である。考えながら書くならローマ字でも困ることはない。親指シフトは速さよりも楽さに真価がある。新聞のコラムを分析し、頻出度が高い順にかなを打ちやすい場所に配置しているからである。

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