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サウナーを描いた傑作ドラマ、テレ東の「サ道」。

 いまさらながら撮り溜めてあった「サ道」を一気観した。
 「孤独のグルメ」と同様、一点突破のドラマである。主人公のナカタアツロウ(原田泰造)が全国のサウナを訪ね歩く、いってみればそれだけの話だ。恋とか愛とか友情とか戦いとか、なにも出てこない。それどころかヒロインもいない。ただおっさんがサウナに入るだけ。よくドラマになったなあと感心する。
 ナカタさんの拠点は上野「サウナ・カプセル北欧」。常連客の偶然さん(三宅弘城)とイケメン蒸し男(磯村勇斗)といつもつるんで、馬鹿話に興じている。
 ナカタさんがサウナにハマったのは、銭湯でZの文字の入ったタオルを持った男、蒸しZにつられて、ついふらふらとあとを付いていったのがきっかけ。心と体が「ととのう」魅力に取り憑かれてしまう。蒸しZは「サウナを信じるな」という言葉を残すが、その謎は最終回で回収される。
 個人的には、荒川良々が孤独なサラリーマンを演じた第10回に惹かれた。会社にも家にも居場所がない男が、夜の時間をサウナで埋める。いい話だったなあ。

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