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記憶の齟齬。はじめて買ったレコード。

 私がはじめてレコードを買ったのは高校生の時で、竹内まりあと中島みゆきと山下洋輔トリオだった記憶がある。
 家を新築して移転したのが小学6年生のころで、客間ができたのをきっかけに我が家にもオーディオ装置が入った。しかし、両親はともに音楽に興味がなく、ソフトはクラシックが数枚あるだけで、つまらなかった。かといって、アルバムはそう簡単に手が出る値段ではなく、相当熟慮して買ったはずだ。
 山下洋輔は筒井康隆の熱心なファンで、筒井康隆も山下トリオのフォンであるという相思相愛の間柄であったのはエッセイでよく知っていたので、どんなものだろうと思って買ったのは間違いない。
 中島みゆきは私の性格からして、好きになるのは当然だった。
 竹内まりあは、謎である。「不思議なピーチパイ」という大ヒット曲に引き寄せられたのかと思ったが、調べてみると、1980年の発表。私はもう大学生ではないか。
 うーん。
 高校生の時にレコードを買ったというのは幻の記憶かもしれないなあ。そんなお金、高校生にあるはずないしなあ。

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