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神田松之丞、新春連続読み。5日目。

 神田松之丞の新春連続読み「畦倉重四郎」5日目。本日は「奇妙院の悪事(上)」(16話目)、「奇妙院の悪事(下)」(17話目)、「牢屋敷炎上」(18話目)、「重四郎服罪」(19話目)の4席。
 奇妙院の悪事は、本筋とは関係のない小悪党の悪事が語られる。
 大牢のなかで畦倉重四郎は、金に執着する奇妙院の本質をすぐに見抜き、これを利用して、牢に火災を起こす。これが18話目。
 火災に乗じて逃げようとするが、すぐに大岡越前につかまり、無念の白州へ。ほとんどの罪は認めるが、証拠のない平兵衛殺しだけは頑として認めない。慟哭する城富。「真犯人がわかれば大岡様の首をいただけるのに!」この一言で、重四郎が動く。どうせ死ぬなら大岡も引き連れてという思惑で平兵衛殺しを白状するが、一枚上手をいく大岡越前の知恵の前にもろくも破れる。「おまえたち薄っぺらい世間は、あくせく働いてなにも楽しい思いをせずに死んでいくんだ。おれは太く短く生きた」と大見得を切る畦倉重四郎。ピカレスク・ロマンとして見事な終わり方だった。

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