40. Kyoto

あの日。雨。来なかった連絡に、どうするのかと催促する気はまったく起きず、新幹線の時間を遅らせる。何にも考えてなかったが新幹線が豪雨で止まる。正直体調は思わしくなかった。5時間かけて京都に着く。晴れて少し蒸すくらいだった。橙色の空に水蒸気が昇っていくようだった。故郷だとは言えない、ほっとしたのは青春の空気か。ここにいることが大切で、夜を待とう。幸いに喫煙所はある。夜と煙と南座の光。と、わたし。それだけ。詩になる。

すべてが予定通りにいっていたら中々に苦しい日程になっていた気がする。そう思えば、来なかった連絡も恵ではないのかぐらいにできる。そういった流れがあって、導きがあって、無理やりにでも何かを掴むことは可能だろうが、時には身を任せてみるのもまたひとつ。できることならなるべく何であれいい方向に捉えていきたいものではある。きっと忘れてしまうくらいに気兼ねない仲なのだろう。それでいい。怒ってもいないし終わりでもない、そう思えるくらいには。たぶんいまじゃなかった、そういうことさ。

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