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【米中首脳会談を中国人に聞いてみた】米中ミサイル外交が習近平を救う?

2022/08/02


■ 米下院議長の訪台に、中国はミサイルで威嚇するか

ナンシー・ペロシ米下院議長が訪台するか否かで、アメリカのメディアだけでなく、世界中のメディアを騒がせている。
ナンシー・ペロシは、日本の蓮舫や辻元清美のような極端にリベラルの人だ。そういうタイプの女性が下院議長で、とにかくパフォーマンスがすごい。

アメリカのモリカケ事件であるトランプ前大統領のロシアゲートの、追求の急先鋒に立って、パフォーマンスに一生懸命になっていた。そのペロシが今度は台湾を訪問して、蔡英文総統に会うという意気込みを見せ、世界中のメディアがそんなことができるのかと大騒ぎになっている。

中国側は、訪台などしたら軍事演習をしてやるとアメリカを威嚇するという経緯になっている。

アメリカの国務長官ブリンケンが、ペロシ下院議長の訪台は下院議長の権利なので、我々に止めることはできない。ただし中国は過激な行動を取らないように願っているとコメントを残している。

8月2日の読売新聞ニュース
『ペロシ米下院議長が訪台すれば、中国は台湾海峡でミサイル発射の可能性も...米高官が指摘』
米ホワイトハウスのジョン・カービー戦略広報調整官は1日の記者会見で、ナンシー・ペロシ下院議長が訪台した場合、中国が台湾海峡でのミサイル発射などの対抗措置を取る可能性があるとの見方を示した。 カービー氏は「中国がペロシ氏の訪台を危機や衝突に発展させたり、攻撃的な軍事行動を増加させる口実にしたりする理由はない」と述べ、中国に自制を求めた。

一部の米台メディアではペロシ氏が2日に台湾入りすると報じているが、カービー氏は、アジア歴訪中のペロシ氏が訪台するかどうか明らかにしなかった。カービー氏は、中国が「今後数日か、さらに長期間」にわたって取り得る対抗措置として、ミサイル発射のほか、中国軍機による台湾の防空識別圏への大規模な侵入、台湾海峡中間線を越えた空・海軍の行動、軍事演習の大々的な公開、経済外交的措置を挙げた。

カービー氏はまた、「下院議長は台湾を訪問する権利がある」として、訪台の判断はペロシ氏が下すべきことだとの考えを示した。政府としては、歴代米政権が維持してきた「一つの中国」政策に「何も変更はない」とし、「台湾の独立を支持しない」とも強調した。

中国の超軍国連大使は1日、安全保障理事会議長国として記者会見し、ペロシ氏が訪台した際の対応について「中国の主権、領土を守るために、できることは何でもする」と述べた。

米海軍の関連団体「米海軍協会」のニュースサイトは1日、米空母ロナルド・レーガンがフィリピン海、強襲揚陸艦トリポリが沖縄周辺に展開していると報じた。中国の対抗措置に備え、しばらく周辺にとどまる可能性があるという。

かなり緊張が高まっている。しかし冷静に考えると、ペロシが訪台することと、その直前にバイデンと習近平の間で話し合ったばかりなのだ。しかも電話会談で2時間20分も喋っている。そのような中で本当にアメリカ側が中国の意思を無視しているのかはちょっと疑問である。

しかも、もちろん台湾を訪問するのは下院議長としてのペロシの権利ではあるが、国会議員は基本的に党主の意思にはそこまで逆らわない。
しかし、ブリンケン国務長官はペロシが勝手に訪問するのを止める権利はないと、少し斜に考えているが止めてもいない。

今まではトランプが何をやろうと一生懸命反対して潰してきた人たちが、ペロシが台湾に肩入れする時に何も止めていない。これは民主党内ではペロシが台湾を訪問するというパフォーマンスにOKサインが出ている。

しかも民主党内で青信号が出ているだけではなく、ペロシが訪台するタイミングに合わせて、米中で首脳会談をして2時間20分も喋っている。そして、この米中首脳会談の内容が公開されないまま、両国の関係は対話は継続する方向性で終わったというこの謎のニュースが流れている。

そういうところから見ると、アメリカと中国の間に何となく裏で手打ちした節が見える。なぜかと言えば、ペロシが台湾を訪問するというのに、アメリカの台湾に対する政策は何も変わらない。「一つの中国政策」に変更はない。「台湾の独立を支持しない」と改めて表明しながら、ペロシを台湾に送り込んで蔡英文総統と会談させる。これをやらせる意図は何なのだと中国人に聞いてみた。


■ 米中花火外交 支持率回復作戦

反習近平派の人に聞いてみたら、今回の米中首脳会談でバイデンはほとんど喋らなかったと言っていた。バイデン大統領はお疲れのようで、あまり言葉が出てこなかったので、別の人がよく喋っていた。

そして今回のナンシー・ペロシ下院議長の訪台で、米中関係は緊張関係にあるのかと聞いたら、いやいやそんなことはない。これからグローバルスーパーグリッド、送電網利権でアメリカと中国は協力して、世界の電力不足を解決するために、国境を越えて世界中の国の送電網繋ごうと合意している。

だから今喧嘩している場合ではない。しかも今お互いにアメリカも中国も国内政治が大変なのだから、本気で戦う気は全くないとのことだった。

今回のペロシ訪台で、アメリカと中国が狙っているのは、今年の11月にアメリカは中間選挙、中国は党大会があるので、お互い習近平もバイデンも自分たちの地位がどうなるのかが今年の秋に決まる。

だから国際情勢をどうこうする気は全くない。今回のペロシの訪台は中国、アメリカ双方にも非常にメリットがある。

今回のペロシ訪台でアメリカの軍の人たちや要人が、今回のペロシ訪台によって、中国側はミサイルで威嚇射撃をするだろうと言っているという報道が流れている。

これもやるかもしれないと言っていた。中国側でやるかもしれないが、一応アメリカに当てないようにやると話もつけてあるから大丈夫だ。第三次世界大戦になることはないと言っていた。

なぜそんなミサイルの威嚇射撃をしないといけないのかと言えば、お互いに中国が軍事演習する。アメリカの米軍の艦隊が横を通り過ぎるぐらいだと絵的にインパクトがない。

世界で話題にならないから、やはりここは威嚇射撃を中国側が仕掛け、アメリカもそれに対して適切な強硬な対応措置をするということで、お互いの国の世論を盛り上げたい。支持率の急回復を狙いたいというのが、今回のペロシ訪台による米中軍事衝突の演出なのだ。

アメリカのバイデン政権の支持率がかなり落ちてきているのと、アメリカ国内での反中の動きがすごく強まっている。
民主党が親中であり、中国と繋がっているベースは変わっていないが、今から反中のポーズをとって、反中を演出しながら、中国と裏で握って、親中政策を徐々に進めて行くという方向に切り替えるために、ペロシを訪台させるということにしたそうである。

やはり反中をある程度やらないと、今年の中間選挙でトランプの共和党に勝てないリスクが民主党の中に出てきた。
だから基本親中だけれども反中のポーズをやって、中国強硬だ、中国共産党反対とやりながら、親中政策を進めるという安倍政権がやった事に習いたいと考えている。

安倍元首相も反中国共産党、反共なのだが、中国強硬というポーズをとってはいたけれども、移民政策や中国に有利なIR政策、カジノの政策や、中国の経済構想、経済圏RCEPなど、中国に有利な政策を粛々と進めてきた。そうすると、どっちも抱き込めることになる。

アメリカは安倍政権時代の手口を習おうかなという方向に動いているようである。

今のアメリカは左派も結構中国の強硬になってきたので、この今回のペロシの訪台によって、米中の衝突、本当にミサイルを使うかどうかは判らないが、ミサイルでもちょっと一発撃って、絵になる威嚇行動を取って、SNS上やメディアでお互いの米中関係の緊張を煽り、国内の不満を押さえ込みたい。国内の支持率を高めていきたいというのが本当の狙いだと、反習近平派のある人が教えてくれた。

この中国の反習近平派は、この米中ミサイル外交、米中花火外交支持率回復作戦と呼んで馬鹿にしている。ミサイルのことを彼は今回花火と呼んでいる。当てるつもりがなく勢いよく火花を散らすだけの見世物として、皆で写真を撮ってネット上で拡散するためのミサイル打ち上げなので、これは単なる花火だと呼んでいた。

本当にこの花火打ち上げをやる気があるのかどうかは判らないが、これが中国人的な見解である。

本気で台湾を抱き込みに行くのだったら、台湾を守りに行くのだったら、まず「一つの中国政策」を取り消すはずだ。そして本気で台湾を支持するのだったら、台湾の独立を支持すると言うのが筋だと思うが、それをやらないまま、中国にちゃんとお伺いを立ててからペロシ下院議長を訪台させるのは、これはポーズの可能性が非常に高いと私も思った。


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