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中国EV車はドイツ車越え報道とベンツCEOの本音

2023/09/10

https://www.youtube.com/watch?v=0dkT3DuA-kY

■  EV技術は中国が優っている

IAAモビリティのショーで、EV車の分野で中国がリードをしているというクリーンエナジーワイヤーの報道。
バイエルンの首都ミュンヘンで開催される今年のIAモーターショーは、欧州の自動車メーカーを、中国のEV車が脅かしているである。こういう主要テーマで、9月5日から10日まで開催されている。

中国企業の存在感が倍増していて、ミュンヘンでは完全な嵐が巻き起こっていると報道されている。

欧州の自動車メーカーは大きな課題に直面している。シンクタンクのホッフェルド氏は電池技術、デジタル化、競争力、生産の自動化において、中国が完全にリードしていることを指摘した。同氏はまた従来の自動車メーカーが原材料とバッテリーや電子機器などの製品の両方において、東アジアの国が支配する脆弱のサプライチェーンに依存していることにも言及した。

中国の自動車メーカーが完全に欧州を圧倒していることが報道されていて、その理由のひとつがサプライチェーンである。バッテリーも中国の生産がかなり世界のシェアを占めている。そして電子部品も台湾や中国などの電子部品メーカーが、かなり半導体チップの製造を支配しているので、この辺りが欧州にとっての弱点だと指摘されている。

その一方で、8月23日のウォールストリートジャーナルのニュースで、中国ではEV車に関連する企業の400社が倒産してしまったほど競争が激しいと言われていて、EVのバブル崩壊が始まりつつあるのではと指摘されている。


■  EV車のインフラ整備問題

さらにロイターニュースで、メルセデスベンツのCEOが、2030年までに欧州は、全新車EV化は見通せないというコメントを出している。
ベンツのCEOは、2030年までに欧州で同社の販売する新車がすべてEV車になるとは見通せないと、自動車ショーIAAモビリティ会場におけるインタビューで語った。メルセデスベンツは以前から市場環境が整えば、30年までに全新車販売をEV化することを目指しているとしながらも、最終的に欲しい車を決めるのは顧客であり、EV移行にはインフラ整備も不可欠だと主張している。こうした中でCEOは欧州のEV市場は近年著しく成長したと指摘。しかし、2030年に欧州自動車市場全体でなく、おそらくベンツの新車100%がEVにならないのは明らかだと述べた。一方で同氏は、我々は100%EV化へ向けての準備をするだろう。だが戦術的な柔軟性も持ち合わせることになると説明し、同じ車種でもEVと内燃機関車のどちらも生産する能力に言及した。今年1月から7月における欧州でのEV販売台数は、前年同期比55%近く増加して、おおよそ82万台と自動車販売全体の13%前後となっているという。

EV技術で中国が優っているというのはもう明白なのだ。EVに必要なバッテリーの生産は中国が強いし、リチウムイオン電池の原料のリチウム鉱山を中国がかなり抑えているというそもそも論もあって、それに加えて電子部品TSMCが中国の自動車メーカーを勝たせるために、中国に優先して製造して納品をしている。

そして最近は自動車用の車載がチップ余ってきたので、減産までしていると言われている。半導体メーカーが、中国の自動車メーカーを勝たせるためにかなりの工作活動をしているという中で、さすがにベンツのCEOも、このまま2030年に新車販売をすべてEV車にしようというのは、非現実的なのではないかと言っている。

ただし、2030年は政府が内燃機関車、ガソリン機関車の販売を禁止する年になってくるので、無理ではないのか、どうなるのだろうかと市場では言われている。


■  EV車の先行き不透明

このワクチンマンデートとか、マスクを絶対しなければならないとか、そういう政府が民間に押し付けて、こうしなさいという風に言ったことが本当に実際にそうなるのかどうかというところがまだまだ不透明だが、世界的には内燃機関車禁止に向かっていることは本当に間違いない。ただし、そこまでEV車が普及するのかというとそうでもない。

アメリカ自身もEV車の普及率6%、中国は11%なのですが、欧州はかなり進んでいる。ノルウェーなどは88%、スウェーデンが52%とかなり高い。ただしこれらの国では自動車のガソリンステーションの代わりに充電ステーションがあるが、充電渋滞が起こっているという報道も出ているので、ベンツのCEOは、インフラ側が整っていないと国に対して文句をつけている形になる。

EV車とガソリン車の決定的な違いは、ガソリンをチャージする、電気をチャージする時間の差がものすごくある。ガソリン車だと給油をするのにほんの数分だが、EV車の場合は30分とか1時間、あるいは何時間もかかることがある。車種によっても違うし、充電するステーションの能力によっても差が出てくる。それぐらい差がまちまちで、充電するのに時間がかかるのをどうするのかいうことに関しては、まだまだ問題が残っている。

欧州などでは確かにノルウェーで88%、スウェーデン52%、イギリス23%、フランス20%、ドイツは25%のEV車が普及しているが、そして政府がEV車を買うときには、かなりたっぷり助成をして補助金を出しているとは言え、そこまで浸透しきっていないということは、やはりEV車に対する懐疑的な見方、まだまだ技術不足だと思っている人がいる。

日本のEVの普及率は1.7%とかなり低い。日本人からすればもうすでにハイブリッド車が有能なので、今更EV車に行く必要があるのかと思うユーザーがかなり多いと見えて、EV車になかなか切り替えられない。

これで自動車メーカーにも話を色々していると、EV車はそんなに売れないのに、そんなEV車に舵を切っていいのかとか、日本の自動車ユーザーは、ドライバーは、もう圧倒的にガソリンが好きなので、EV車を作る意味がよく判らないと文句を言いながらEV車を作っているという状態だ。

これからどうなるのだろうか。政府が無理やりガソリン車をやめなさい、内燃機関車を禁止する。内燃機関車ではない自動車にしなさい。クリーンエナジーにしなさいとなった時に、本当にEV車がそのままいけるのかには疑問が残っていて、いざとなった時に、もしかしたら水素が伸びてくるのではといった声も上がってきている

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